丸本鋼材は「環境」と「経済」のよりよい循環づくりをお手伝いしてまいります。
TEL.082-281-029
丸本鋼材株式会社,MARUMOTO Steel Materials Co.,ltd
アクセスマップ
ホーム 企業情報 事業内容 リクルート お問合せ
新着情報
 
2017/10/31  

世紀の大発見! 中性子星合体による重力波の初観測 (61)
金・プラチナ・レアアースなど重元素が生まれた謎の解明に一歩

 10月16日、世界を驚嘆させる天文学のニュースが飛び込んできました。地球から約1億3000万光年離れた高密度の「中性子星」が衝突・合体した際に放出した“重力波”を、観測することに初成功した、と米欧の国際研究グループが発表したのです。
 アルベルト・アインシュタインが1916年にその存在を予言した“重力波”とは、宇宙で発生した非常に激しい出来事が原因で起こる、時空のよじれやゆがみのこと。これまでに観測された重力波はすべて2つのブラックホールが合体した際に起こったもので、この場合には観測可能な痕跡は何も残りません。
 しかし、今回は米国のLIGO(ライゴ=重力波望遠鏡)とNASAのフェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡が8月17日に相次いで観測に成功。そこにはこの重力波がブラックホールではなく、死んだ星の合体によって生じたものであることを示す兆候が現れていました。彼らは直ちに世界各地の天文台に向けて、中性子星の衝突によって生じる破片をとらえ、重力波発生直後の様子を初めて観測する絶好のチャンスであることを呼びかけ。これに応じた日本の国立天文台を含む世界70機関による追加観測の結果、合体により放出された光やエックス線、ガンマ線などの観測に成功したものです。
 今回、中性子星の合体が観測されたことによって、長い間議論されてきた重元素の起源も解明に一歩近づきました。重元素とは、鉄よりも重い金やプラチナなどの貴金属や、ネオジムなどのレアアースのこと。今回の爆発を赤外線で観測したところ、放出された破片には少なくとも地球1万個分の貴金属が含まれていることがわかったといいます。これは現在宇宙に存在が確認されている重金属の量に十分匹敵する数値だそうです。
 1億3000万年前に死んだ二つの中性子星が衝突した後に残されたものは、太陽の約2.6倍の重さの天体だといいますが、それがブラックホールであるのか、異常に大きな中性子星であるのか、その正体は未だ解明されていないそう。
 世界の天文学者を興奮のるつぼに巻き込んだ世紀の大発見。真理の解明にはまだまだ時間がかかりそうですが、夢のあるビッグニュースでした。

 
2017/9/30  

広がるシェアリング・エコノミー、アプリが加速(60)
メルカリが自転車シェアで「リアル事業」に本格参入

 フリマ(フリーマーケット)アプリ大手の「メルカリ」が、自転車シェアリング事業に参入することを発表しました。まずは都市部からの導入を想定して複数の地方自治体と交渉中で、早ければ2018年初めにも「メルチャリ」の名称でサービスを開始するようです。
 メルカリといえば、2013年7月のサービス開始以来、急成長。現在では国内ダウンロード数5000万、海外ダウンロード数2500万(いずれも2017年7月)と、圧倒的な規模を誇るフリマアプリです。
 スマートフォンのカメラで商品を撮影し、商品状態と価格を記入するだけで出品できるという手軽さが受け、若年層から広い年代層へ認知・利用が広がり、現在では月間100億円、年間1200億円以上の商品が流通しています。自転車シェアではメルカリのフリマアプリと連携し、同じIDを活用する計画とか。ネットで蓄積した事業モデルを、自転車シェアリングによってリアル事業と融合させることになります。
 モノ・サービス・場所などを、多くの人と共有・交換して利用する社会的な仕組みは「シェアリング・エコノミー(共有型経済)」と呼ばれ、カーシェアリングや民泊をはじめ、空き駐車スペースの貸出、ご近所でのお手伝いサービスなど、さまざまなビジネスモデルが登場してきています。貸主は遊休資産を活用して収入を得られ、借主は資産を保有することなく利用できる、という相互メリットがその特徴。大きくみれば、モノの再利用の最適化により社会ストックを有効活用することにつながり、経済のしくみを変える新しい潮流であるともいわれます。
 シェアリング・エコノミーはもともとシリコンバレーを起点に始まり、世界に広がりました。それが可能になった背景には、インターネットの普及により時間や場所にとらわれずにサービスを利用しやすくなり、個人間の取引コストが下がったことがあります。とくにここ数年のスマートフォンの普及とアプリの登場により、個人間ニーズのマッチングや、信頼性の担保が強化されたことで、その拡大に拍車がかかっているようです。
 日本でもシェアリング・エコノミーは急速に拡大しています。矢野経済研究所の推計によると、シェアリンク・エコノミーの国内市場規模は、2014年度に約233億円でしたが、2018年度には462億円にまで拡大すると予測されています。

 
2017/08/14  

新しい鎮魂のかたち----樹木葬で森を復元 (59)
環境団体が主体。墓地運営による資金で森の復元に挑む新たなナショナルトラスト運動

 8月のお盆休みも只中。盆踊り、花火大会などイベントも多いこの時期ですが、日本の夏祭りはその多くが、祖先の霊を供養する盂蘭盆会=お盆の行事にちなむようです。あの京都の大文字焼きも、お盆に迎えた先祖の霊を再び浄土へ送る「五山の送り火」のひとつです。
 そんな鎮魂の季節に、閑話休題。新しいお墓のかたちとして近年注目される「樹木葬」に、国内で初めて環境団体が乗り出し、話題を呼んでいます。千葉県の房総丘陵にある土砂採取跡地で在来種による樹木葬の墓地をつくり、50年をかけて森に戻そうという活動で、ビオトープの普及や動植物の調査などを行う公益財団法人日本生態系協会が墓地の運営にあたります。
 協会によると、墓地を整備した土地は尾根を切り開いた土砂採石跡地で、業者が倒産して放置されていたもの。周辺には首都圏では珍しいゲンジボタルの自生地があり、森を再生させる価値は高いと判断しましたが、土地の購入費用がネックでした。そこで樹木葬に着目。自然保護のために森林を買い取る「ナショナルトラスト」の発想で、周辺の森を含む約3万6000㎡を取得し、うち3500㎡を墓地区画として利用しながら再生することにしたそうです。
 墓石の代わりに植えられているのは、在来種のヤマザクラ、コナラ、ムラサキシキブなどの若木。周辺の森から種を採り、数年をかけて育てたもので、多くは契約時に植樹されます。区画は再販売せずに30年間は手入れを続け、50年後には森に戻る構想です。
 樹木葬が注目される背景には、都市部での深刻な墓不足もあります。全日本墓苑協会などでつくる厚労省研究班の報告によると、人口減少の日本でも墓の需要は2030年頃までは大きく減らないと推計。こうした傾向は特に都市部で顕著だといいます。
 樹木を墓標とする「樹木葬」×ナショナルトラスト運動による「森の復元」。これまでにない新しい鎮魂のかたちに、変わる時代と変わらない心の、ひとつの在り方をみたような気がします。

 
2017/07/21  

世界のブラごみ総量63億トン、2050年には倍増と米ジョージア大が推計 (58)
フランスはプラスチック製使い捨て食品容器禁止へ

 1950年以降に世界で製造されたプラスチック製品の総量は83億トンに達し、うち63億トンがごみとして捨てられたとする推計を、米ジョージア大の研究チームが19日付の米科学誌に発表しました。ごみの量約63億トンは、東京スカイツリーの重さに換算して約17万個分に相当します。
 研究チームは樹脂や繊維など化学製品の統計データを分析。プラスチックの年間製造量は、1950年の200万トンから2015年には4億トンに増え、累計は83億トンに及びました。製造量の半分近くは、21世紀に入ってからのものだそうです。
 ごみになった63億トンのうち1回でもリサイクルされたのはわずか9%で、12%が焼却処分され、79%は埋め立て処分されたり自然界にそのまま捨てられたりしているとの分析。再利用せずに使い捨てられるポリ袋などの包装材やペットボトルなどの容器は年々増加しており、2050年にはブラごみの総量が120億トンに倍増するとチームは予測しています。
 こうしたプラスチックごみ削減に先進的な取り組みを進めているのがフランスです。2016年7月1日からスーパーなど小売業でのプラスチックレジ袋を廃止したのに続き、今年(2017年1月1日)からは生鮮食品包装用など、レジ袋以外の袋にもプラスチック袋の使用禁止が拡大適用されています。さらには、カップや皿、コップ、フォークなどあらゆる使い捨てプラスチック容器の使用を禁じる法律を世界で初めて制定。こちらは2020年1月には施行される予定で、同時にすべて使い捨て食器類について、家庭用コンポストなどで堆肥にできる生物由来の素材を50%使うことを義務づけるそうです。
 対して、日本では・・・レジ袋、ペットボトル、お菓子の包装、食品トレー、コンビニの弁当容器など、身の回りにあふれる多種類のプラスチック。その量も多く、レジ袋だけでも一人年間300枚、毎日1世帯から1kgのプラゴミが発生するともいわれます。
 夏休みに入り子どもと過ごす時間も増えるこの時期、ペットボトルの確実なリサイクルやレジ袋の辞退など、身近な3Rについて家族で話しあってみたいと考えています。

 
2017/06/20  

“都市鉱山からオリンピックメダル”プロジェクトが本格始動(57)
「金銀銅8トンを19年春までに」---回収目標に向け全国に取り組み広がる

 東京五輪・パラリンピック組織委員会が、2020年大会の金、銀、銅メダルを全て国内の都市鉱山から製造するプロジェクトを進めています。
 名称は「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」。都市鉱山とは、家電製品や携帯電話など都市で廃棄される電子機器の中に含まれる金銀銅などの金属資源のこと。デジタルカメラ、プリンター、電子レンジ、ゲーム機、ドライヤーなどの身近な製品には貴重な金属資源が大量に含まれており、これらの不用品を一般家庭などから集め、取り出したリサイクル金属で作製したメダルを「都市鉱山メダル」呼んでいます。
 2016年に開催されたリオデジャネイロ五輪では銀と銅のメダルに30%リサイクル金属が使われましたが、全メダルをリサイクル金属で作った事例は過去になく、メダル全てを「都市鉱山メダル」とするのは、3年後の東京五輪が史上初めての試みになります。
 本プロジェクトの提案者の1人である物質・材料研究機構のアドバイザー、原田幸明氏によれば、「オリンピック・パラリンピックでアスリートに授与されるメダルは約5000。必要な金属量は金・=9.6kg、銀=1210kg、銅=700kg。金9.6kgを回収するには、携帯電話だけなら数十万台、パソコンだけなら数万台に相当するが、金メダルは銀の土台に金メッキを施しているため銀や銅より必要量は少なく、必ず集まるものと期待している」とのこと。
 加工時のロスなどを見込むと実際には4倍程度が必要で、2019年春ごろまでに金銀銅合計で約8トンが回収目標とされています。プロジェクトが公認する回収主体は、NTTと自治体、国による認定事業者。先行して取り組みを始めた東京都に続き、メダル専用の回収ボックス設置や回収イベントの開催が全国の自治体に広がっています。
 資源小国といわれる日本ですが、足元の都市鉱山に眠っている金は7千トン、銀は約6万トンとも推計され、潜在量は天然鉱山が豊富な世界有数の資源大国並み。しかしながら回収率は低く、2013年4月に小型家電回収法が施行されて以降も、年間発生量(約65万トン)の8%程度にとどまっています。
 オリンピックを契機に都市鉱山への一般の認知が高まり、家庭に退蔵されている使用済み電子機器などのリサイクルが大きく進むことを期待します。

「都市鉱山からつくる! みんなのメダルプロジェクト」の概要はこちら☞
 https://tokyo2020.jp/jp/games/medals/project/
小型家電の回収について—当社の事業案内はこちら☞
 http://www.m-kou.co.jp/small.html

 
2017/04/17  

リサイクルトレンドウォッチ(56)
下水汚泥肥料などで育てた農産物、『じゅんかん育ち』のネーミング決定!
“ビストロ下水道”=下水道資源の農業への活用をブランド名で後押し

 国土交通省は4月13日、下水汚泥を発酵した肥料で育てた農作物など、「下水道発食材」の愛称を『じゅんかん育ち』に決定したと発表しました。
 農業生産には肥料が不可欠ですが、日本はその原料となるリン鉱石を全量輸入にたよっています。農業・食品に関わるリンの輸入量は年間56万トンに及びますが、リン鉱石の価格は、世界的な食糧需要の急増や主要産出国の輸出制限等により、この10年ほど乱高下が続いています。
 一方、国内の下水道には日本のリン輸入量の約1割にも相当するリンが流入しているとされますが、そのうちコンポスト(汚泥肥料)として利用されているのはわずか1割にすぎません。
 下水処理場には、肥料原料となるリンや窒素のほかにも、栄養塩を含んだ処理水、熱や植物の生長・光合成を促進するCO2(二酸化炭素)など、さまざまな有機物資源やエネルギーが集まっていますが、その利用は一部に限られています。
 国土交通省では、こうした下水道資源(再生水、汚泥、熱、CO2等)を農作物の栽培等に有効利用し、農業の生産性向上につなげようと、「BISTRO (ビストロ)下水道」の名称で取り組みを推進してきました。
 汚泥肥料は穀物や野菜栽培に幅広く使われていますが、ほかにも下水の再生水を使用した水稲、サトウキビ、スッポンの養殖や、水処理過程で発生する熱・CO2を利用したハウス栽培、水耕栽培、アオノリの養殖など、「ビストロ下水道」の取り組みと成果が北から南まで、全国に広がっています。
 こうした下水道発食材のイメージを向上するとともに、より親しまれやすい愛称をと、公募したネーミングコンテストで、833点の応募作品から選ばれたのが『じゅんかん育ち』。持続可能な環境調和型の農業を代表する農産品ブランドとして、店頭でその名前を見かける機会が増えるかもしれません。

国土交通省/日本下水道協会「ビストロ下水道」のレシピブックはこちら☞
http://www.mlit.go.jp/common/001036780.pdf

 
2017/03/15  

リサイクルトレンドウォッチ(55)
漁礁になった海底がれき--東日本大震災から6年
三陸沖海底の生態系を海洋開発研究機構が調査

 東日本大震災から6年。東北地方太平洋側は地震と巨大津波により海の中も甚大な影響を受け、沿岸から沖合にかけ無数のがれきが沈んでいます。環境省の推計では、津波で海に流れ出た震災がれきは約500万トンに達し、このうち350万トンがまだ海底に沈んでいるとされます。そうしたなか最近の海底調査で、流されたがれきが海底でさまざまな生き物を集める「漁礁」のようになり、豊かな海が戻っている様子がわかってきました。
 海洋研究開発機構は、今年2月11日~27日にかけ、調査研究船と無人探査機を使って三陸沖の海底環境や海底地形、生物分布を調査しました。海底では谷底のような地形になったところにがれきが多く集まり、水深540メートルの場所では車のバンパーや漁網に、クモヒトデやウミシダなどが群がっている様子が確かめられました。
 この調査は、三陸沖の巨大地震や津波による海洋生態系への影響を研究し、被災地漁業の復興へ貢献することを目指した「東北マリンサイエンス拠点形成事業」(TEAMS)の一環として定期的に行われているもの。
 2012年3月に、硬いものに付着して暮らすのを好むゴカイ類などががれきに集まっているのが初めて確認されました。以後、毎年の調査で、生物が増えている様子がわかってきています。がれきに群がるクモヒトデ、ウミシダ、ゴカイなどを餌にする魚が寄ってきて、がれきがいわば「漁礁」のような役割を果たしているとみられ、高級魚として知られるキンキやウニなども確認されているそうです。
 TEAMSホームページで公開されているギャラリーでは、調査・観測で撮影された、東北の海にすむさまざまな生物の選りすぐりの動画を見ることができます。
 海洋研究開発機構では、三陸の海にどんな生物が種類どの程度の密度ですんでいるかを示す地図づくりも進めているとか。季節ごとの変動や餌などとの関係を解明することで、環境に配慮した適切な漁獲量の判断や、将来同様の津波被害が起きた時の復興にも役立てたい、とのねらいもあるようです。


東北マリンサイエンス拠点形成事業(TEAMS)ホームページ
東北の海にすむ生物や海中の動画ギャラリーはこちら☞
http://www.i-teams.jp/gallery/j/index.html

 
2017/02/08  

リサイクルトレンドウォッチ(54)
眠れる「森林資源」を活かす道は? (下)
伐り出した1本の木を最後まで活かす「カスケード利用」が鍵に・・

 戦後全国につくられた人工林が成長し、いまや40年前の3倍にまで増加した日本の森林蓄積(皮付の幹の体積)。その量は60億㎥に達し、欧州(ロシアを除く)のどの国よりも多いといわれます。
 植林から数十年を経たスギやヒノキがまさに伐りどきを迎えているわけですが、森林1ha当たりの木材生産量(㎥)をこの10年平均で見ると、ドイツ5.36㎥、オーストリア4.98㎥、フランス3.39㎥、イギリス3.06㎥に対し、日本はわずか0.69㎥。温暖多雨な気候条件にもかかわらず、ドイツやオーストリアの1/7、フランスやイギリスの1/5にとどまっています。
 欧州主要国は1960年代から林道網整備に力を入れ始め、90年代末には林道ネットワークがほぼ確立しました。1990年代から持続可能な森林管理と木材利用へ向けた取り組みを展開して、世界をリード。着実に森を育てながら、木材生産・利用を拡大し、木質バイオマスのエネルギー利用などのイノベーションを進めてきたとされています。こうした手法で後れをとった日本が、足元の豊かな森林資源を活かすための課題は、木材を安く山から伐りだすための林道網の整備と、林業の機械化による生産性向上、複雑な流通経路の見直しにある、と専門家は指摘します。
 課題山積ともいえますが、一方で明るい兆しも見え始めています。林野庁統計によれば、日本の木材自給率は平成23年から5年連続で上昇。平成26年には26年ぶりに30%台に回復し、平成27年には33.3%の自給率となっています。
 木材から得られる産物は多種多様です。一本の樹木からは、製材用丸太・小径丸太・枝条・梢端が得られます。最も理想的な利用方法は、「見栄えの良い建築部材・家具」→「見えないところに使われる構造材」→「紙パルプ・ボード類用の低質材」→「木質バイオマス」と、質の高いものから順々にとっていって、最後まで余すところなく使い尽くすこと、と考えられています。いわば木材の“カスケード利用”*ともいえる使い方です。
 近年、国内でも木質バイオマス発電施設が相次いで建設され、燃料用バイオマスチップの需要が増えています。製材加工の過程で大量に出る樹皮やおが屑など、十数年前までは埋立処分するしかない「廃棄物」であったものが、いまでは「副産物」として木質ペレットの原料となり、発電や事業用ボイラーに活用されています。
 木材の伐り出しといえば、木を伐倒して価値のある丸太だけを引き出し残りは山に捨ててきたのが日本のこれまでの方式。今後、機械化により枝葉ごと林道まで引き出し低質材も運び出す「全木集材」に変われば、未利用木材が安価かつ安定的に供給されるようになります。木材の徹底したカスケード利用によって、再生可能エネルギーの利用が進むと同時に林業が再生する----眠れる日本の森林資源が目覚める、そんな未来は、夢ではないような気がします。

*カスケード利用
 資源やエネルギーを利用すると通常、品質が劣化します。その劣化した品質に応じて
 段階的に有効利用することを「カスケード゛利用」といいます。

 
2017/01/18  

リサイクルトレンドウォッチ(53)
眠れる「森林資源」を活かす道は? (上)
日本の森林蓄積は、年々増加している

 阿修羅像などで知られる奈良の興福寺(世界遺産寺院)で、710年に建てられた中金堂の復元が、2018年の落慶をめざして進められています。中金堂は興福寺の中心となる重要なお堂ですが、藤原不比等による710年の創建以来、7度も火災により焼失、その度に再建されてきました。江戸時代に仮再建されたものが老朽化により2000年に解体され、創建1300年を迎えた2010年から当時の姿の復元をめざして日本建築の伝統的な木工技法で再建が進んでいるものです。
 さて、再建工法は日本の伝統様式ながら、建物を支える66本の柱に使われているのは、アフリカ産のアパという直径2メートルにもなる巨木。梁などにはカナダ産のヒノキが使われています。樹齢200年を超えるような巨木は、残念ながら日本ではほぼ手に入らないためだそうです。
 日本の森林面積は2500万ヘクタール。国土に占める森林面積の割合は68.5%で、OECD加盟国の中ではフィンランド(73.1%)に次ぐ2位となり、スウェーデン(68.4%)を上回っています(FAQ・2015年調査による)。しかし、戦後復興期には6000万㎥にも達していた木材生産量は、今では1800万㎥に過ぎず、戦後9割を超えていた木材自給率も現在は2割以下にまで落ち込んでいます。
 なぜ、日本の林業がこれほどまでに衰退してしまったのか? よく指摘されるのが「安い外材が日本の林業をダメにした」という説です。戦後、復興のための木材需要が高まり、年間40-50万ヘクタールのペースで日本中の山や草地にスギやヒノキが植えられました。こうした人工林は、現在の日本の森林面積の約4割を占めています。しかし、高度成長期にはこれらの植林が未だ育っていなかったため、日本は1960年に木材輸入の自由化をスタート。1964年に完全自由化されたことで、大量に安定供給できる外材が市場を席巻し、国産材の供給量は低下の一途をたどりました。
 日本の森はいま、新たな局面を迎えています。というのも、かつて大量に植林されたスギやヒノキが一斉に伐採期を迎えているからです。森林で生育する樹木群は時とともに絶えず変化しています。この40年で森林面積は変わりませんが、樹木の体積を示す蓄積量は、40年前の20億㎥から大きく増えています。
 林野庁が1999年から実施している「森林資源モニタリング調査」によれば、第1期(1999~2003)調査から推計される全国の森林蓄積量(皮付の幹の体積)は52億㎥でしたが、第2期(2004~08)調査では60億㎥に達しました。40年前のおよそ3倍の水準です。
 世界有数の貴重な宝、日本の森林資源を、有効に活かす手立てはないものか? いま注目されるアプローチについて、次回ご紹介します。

 
2016/12/12  

リサイクルトレンドウォッチ(52)
環境省がフロン類回収 実態調査へ
進まないフロン回収、2014年度の回収率は32%どまり

 地球温暖化やオゾン層破壊につながるフロン類の回収率が低迷していることから、環境省が実態調査を始めるようです。明日13日にも有識者による検討会を立ち上げ、回収率を上げるための制度づくりを議論すると、朝日新聞が報じました。
 オゾン層を壊す特定フロンや、温室効果をもつ代替フロン(HFC)の機器廃棄時の回収は、法律で義務化されています。しかし回収率は両者を合わせて2014年度は約32%にとどまっています。国は2020年に50%、2030年に70%の回収をめざしています。
 回収率が上がらないのは、フロン類は無色無臭なため違法な放出や、漏れに気付かない例があるためではないかと、環境省はみています。仮に現在の回収の技術基準を順守した場合でも、取り残しが出る可能性があるといいます。
 そこで、スーパーや倉庫など業務用の冷凍空調機器で廃棄時のフロン類の回収率を測定。代表的な機器約30件について調査を行い、その結果をもとに回収の技術基準改正を検討する、としています。
 2015年4月に施行された「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)」では、業務用エアコン・冷凍冷蔵機器の管理者に、機器およびフロン類の適切な管理が義務づけられました。新たな義務として「フロン類算定漏えい量報告」が加わり、年間1000トン以上のフロン類の漏洩を確認した場合、事業者は国に報告書を提出すること、とされています。
 当然ながら、漏えい量を算定するためには、所有するフロン機器ごとの適切な管理(冷媒の種類/定格出力/定期点検/充填・回収記録)が行われていることが前提となります。
 フロン管理者の方々には、こうした国の動きを注視していただくことが肝要かと思われます。

☞フロン排出抑制法(平成27年4月施行)の概要チラシはこちら
http://www.env.go.jp/earth/furon/files/kanrileaflet.pdf
☞環境省 フロン排出抑制ポータルサイトはこちら
http://www.env.go.jp/earth/furon/index.html

 
2016/11/24  

リサイクルトレンドウォッチ(51)
PCB使用製品・廃棄物の早期処理に向け環境省が注意喚起!
中国・四国・九州・沖縄のタイムリミットは、500日を切る

 環境省は11月15日、コンデンサ-、変圧器など有害なPCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物の適正な早期処理を促すため、ホームページ内に「PCB早期処理情報サイト」を開設しました。
 今年8月1日に施行された改正PCB特別措置法により、PCB廃棄物は地域ごとに定められた処分期間内での処分が義務付けられました。高濃度PCB廃棄物は、処分期間を過ぎると事実上廃棄処分ができなくなります。タイムリミットが最も早く訪れるのが中国・四国・九州・沖縄で、このエリアでは保管されている変圧器やコンデンサーなどの高濃度PCB廃棄物を、2017年度末までにJESCO(中間貯蔵・環境安全事業)北九州事業所に処分委託しなければなりません。タイムリミットが残り500日を切ったことから、環境省が情報サイトを開設し、広く早期処理を呼びかけているものです。
 PCBは難分解性で慢性毒性をもつ化学物質。国内最大規模の食品公害「カネミ油症事件」の原因物質となったように、生体内に取り込まれやすく残留毒性が高いため、体内に蓄積すると健康被害をもたらします。耐熱性や絶縁性に優れた性質から、かつては変圧・コンデンサ-・安定器などの絶縁油や感圧紙、塗料、印刷インキの溶剤などに、幅広く利用されていましたが、毒性が社会問題となり、現在は新たな製造が禁止されています。
 1953年から1972年に国内で製造された変圧器・コンデンサーには、絶縁油にPCBが使用されたものがあります。該当品は、機器に取り付けられた銘板を確認することで判別できます。古い建物を解体する際には、トランス、コンデンサ-、蛍光灯安定器等にPCBが含まれている可能性があるため、注意が必要です。

☞環境省 PCB早期処理情報サイトはこちら
http://www.env.go.jp/recycle/poly/pcb_soukishori/
☞PCB含有製品についての産業廃棄物適正処理推進センターのチラシ
https://www.env.go.jp/recycle/poly/pcb-pamph/full5.pdf

 
2016/10/25  

リサイクルトレンドウォッチ(50)
日本の資源循環脅かす韓国の鉛リサイクル
20年手つかずの“バーゼル法改正”へ向け、機運高まるか

 使用済みの車のバッテリーの韓国への輸出が止まりません。バッテリーに含まれる鉛が高値で買い取られるためです。
 韓国業者が日本で大量に廃バッテリーを買い付けるようになったのは鉛の地金価格が高騰した2007年以降。財務省貿易統計によると、使用済みバッテリーの輸出量は07年に3万トンを超え、12年以降は毎年7~10万トンに拡大しています。その大半が韓国への輸出で、国内の使用済みバッテリーの4割近くが韓国に出ている(日本鉱業協会)ともいわれます。
 韓国が昨年輸入した廃バッテリーは42万トン(韓国貿易統計)。日本、米国、中東をはじめ全世界に集荷ネットワークを張り巡らせ、ここ10年で輸入量は10倍以上に伸長。それに伴い中東向けの補修バッテリー輸出や、欧米向けの地金輸出も拡大させ、世界最大の「鉛加工貿易国」として台頭してきました。
 その韓国で今年6月、廃バッテリーリサイクル業者11社がリサイクル過程で発生した有害物質を不法投棄したとして、当局に摘発されました。韓国当局の発表によると、摘発された業者は不法投棄により約56億ウォン(約5億円)の利益を得ており、処理費を浮かした分を買い取り価格に上積みしていた可能性が疑われています。
 この事件は、高値で廃バッテリーを大量購入する韓国業者により事業収益を圧迫されてきた国内の鉛関連業界に大きな波紋を広げました。使用済み鉛バッテリーは有害廃棄物に分類され、リサイクル過程で生じるヒ素や硫酸など有害物質は法律で規制されます。設備や廃棄費用のコストを義務として負担する国内事業者の間に、「韓国勢は不法投棄で調達時の競争力を得ていた」との疑念が高まるのも無理からぬことでしょう。
 こうした事態を受け、環境省はバーゼル法の改正も視野に対策の検討を始めたようです。バーゼル法とは、廃棄物の越境移動を巡る問題の解決などを目的とするバーゼル条約に日本が1993年に批准したことに伴う国内実施法。越境移動の活発化に対応し欧州等はダイナミックに国内制度を見直していますが、日本では20年以上にわたり大きな見直しが行われていません。
 貴重な金属資源として電子機器スクラップの争奪戦が世界中で激しくなるなか、国内で処理されるべき廃棄物の海外流出を防ぎ、環境リスクを輸出しないためのしくみが、時代の変化に即して柔軟かつタイムリーに運用されることを期待いたします。

☞ 環境省・廃棄物等の越境移動等の適正化に関する検討会報告書はこちら
http://www.env.go.jp/press/mat01/102670.pdf
☞ 同報告書のポイントはこちら
http://www.env.go.jp/press/files/jp/102978.pdf

 
2016/10/13  

リサイクルトレンドウォッチ(49)
廃棄スマホの輸入審査、短縮へ
経産省・環境省、アジアからの希少金属確保めざし規制を緩和

 経済産業省と環境省が、廃棄スマホやノートパソコンを輸入しやすくする規制緩和に踏み切ることになりました。スマホやパソコンの廃棄量は世界的に増加しています。現在、国内では香港や台湾、タイなどアジア各国・地域から、年3万~4万トン程度の廃棄スマホ・パソコンを輸入。その中から金やタングステン、ニッケルなどの希少金属を取り出し、再利用しています。これらの電子機器に含まれる希少金属は、リサイクルすれば再び電子部品の材料になることから、「都市鉱山」と呼ばれています。政府は輸入審査手続きを大幅に短縮することで、希少金属の確保と再利用の促進をめざすものです。
 廃棄された電子機器の輸入については、不法投棄や不適正なリサイクルを防ぐため「特定有害廃棄物の輸出入規制法(バーゼル法)」によって、国が輸出入業者やリサイクル工場を事前にチェックするルールが定められています。現行法ではアジアから廃棄スマホを輸入する場合、現地の輸出業者が送り先の日本のリサイクル工場や輸出量を記載した種類を日本政府に提出。リサイクル工場側も受け入れ量や処理方法を記して提出し、政府が双方の情報をつきあわせて確認したうえで輸出を許可するため、審査に最短2カ月、最長で1年程度かかっています。一方、EUでは最短数週間で手続きが終わるため、審査に時間がかかる日本を避け、欧州にアジアの廃棄スマホが流れているといわれます。
 経産・環境両省は来年の通常国会にバーゼル法の改正案を提出。法改正後は事前に認定したリサイクル工場であれば、輸出元が契約書類を示すだけで輸入できるようにして、アジア各国からの輸入の場合、現在2ヵ月~1年を要している審査期間を数週間から1ヵ月程度に縮める方針です。
 日本では年5000万台を超える携帯電話・スマホが捨てられていますが、再利用率はわずか1割程度。国内リサイクル率の向上ととともに、こうした輸入拡大策が、都市鉱山からの希少金属の安定的な確保につながることを期待します。

 
2016/9/12  

リサイクルトレンドウォッチ(48)
OECD鉄鋼委員会、中国も参加の「グローバルフォーラム」を設置
長びく鉄鋼の過剰生産、チャイナリスク解消への一歩となるか?

 経済協力開発機構(OECD)が8、9日にパリで鉄鋼委員会を開き、世界的な鉄鋼の過剰生産の解消に向けた協議の場を設けることで合意した、と日経新聞が報じました。今回の鉄鋼委員会にはOECD非加盟の中国やインドも招待国として参加。新たに設ける協議の場、「グローバル・フォーラム」は中国が加盟しないOECDとは切り離し、各国が対等な立場で議論する独立した会議体にすることを確認しました。
 世界の鉄鋼過剰生産能力は2015年についに7億トンを超えました。日本の粗鋼生産量(1億トン強)の約7倍に相当する数字です。7億トン超のうち約4.3億トンが中国分(米国鉄鋼協会の見解)であるとされます。中国は経済の減速が鮮明になる中、内需で消費できない鋼材を国外へ安値で輸出。これが鋼材の国際市況を暴落させ、世界の鉄鋼メーカーを疲弊させています。生産量で世界首位のアルセロール・ミタルや、日本勢のライバルである韓国大手のポスコも15年12月期は最終赤字に沈んだほどで、インドのタタ製鉄は英国事業の売却検討を表明しています。
 中国製品は高品質の日本製品とはそれほど競合せず、日本メーカーの打撃は比較的小さいとされてきましたが、やはり対岸の火事とはいかず、輸出採算の悪化、中国製品に押し出された韓国・台湾製品の日本市場への流入など、チャイナ・リスクの影響はじわじわと広がっています。
 中国には町工場レベルを含めると約500社の鉄鋼メーカーが存在。年産3000万トン以上のメーカーは6社ですが、上位メーカーへのシェア集中は一向に進まず、乱立状態が続いています。自国メーカーの半分は赤字とされるだけに、中国政府も再編の必要性は認識しており、2015年まで10ヵ年続いた「鉄鋼産業発展政策」に代わる「調整計画」を打ち出しました。しかし雇用や税収を維持したい地方政府の抵抗にあうなど、中国特有の事情から、足踏みが続いています。
 そうした中で設立された「グローバル・フォーラム」。日米欧の先進国に加え、中国やインドが参加する枠組みの中で、各国の生産量や設備能力の情報を共有する体制をいかに整えるのか、各国が補助金などで競争をゆがめる措置を取りやめられるのか、などが議題になります。年内にも開かれる見通しの第1回会合を、まずは注視したいものです。

 
2016/8/17  

リサイクルトレンドウォッチ(47)
国内環境産業の市場規模、初の100兆円に
廃棄物処理・資源有効利用の市場規模は45.8兆円、経済波及効果は91.1兆円に

 GDPが低迷するなかで、廃棄物処理・リサイクルや温暖化防止などの環境関連市場が伸長し、国内経済において存在感を増していることが環境省のデータから明らかになりました。
 環境省がこのほど発表した推計によれば、2014年の国内の環境関連産業の市場規模は約105兆4133億円(前年比1.3%増)で、統計をとり始めた2000年以降初めて100兆円規模に達しました。市場規模は2000年の58兆円と比べると約2倍に拡大しており、雇用者数も約256万人と過去最多になっています。
 分野別にみると、最も市場規模が大きかった「廃棄物処理・資源有効利用」が約45.8兆円。次いで太陽光・風力発電などの再生エネや省エネ機器、自動車の低燃費化などを含む「地球温暖化対策」が約37.7兆円、化学物質汚染防止や下水・排水処理などの「環境汚染防止」が13.6兆円、「自然環境保全」が8.2兆円となっています。
 全産業に占める環境産業の市場規模の割合は、2000年の6.2%から2014年の11.1%まで増加し、環境産業が日本の経済成長に与える影響は大きくなっている、としています。
 環境産業の付加価値額(企業等の生産活動によって新たに生み出された価値)の推計は、42.4兆円で、うち「廃棄物処理・資源有効利用」が22.4兆円と最大を占め、「地球温暖化対策」が11.3兆円でこれに続いています。全産業の付加価値額(GDP)が横ばい傾向にあるなか、環境産業の付加価値額は景気減速の影響を受けた2009年を除き、概ね増加傾向に。GDPに占める環境産業の付加価値額の割合は、2000年の5.5%から2014年の8.7%にまで増加しており、付加価値額の面においても、環境産業が我が国の経済成長に与える影響が大きくなっている、としています。

☞ 環境産業の市場規模等の推計結果概要(環境省・2014年度版)はこちら
http://www.env.go.jp/policy/keizai_portal/B_industry/1-3.suikei.pdf

 
2016/7/25  

リサイクルトレンドウォッチ(46)
金・銀を含む鉱石を海底で養殖??
海洋開発機構、「人工熱水噴出孔を利用した黒鉱養殖プロジェクト」を本格化
 
 「熱水」と呼ばれる海底の火山活動を利用して金や銅などの金属を「人工的に養殖」しよう、という研究が進んでいます。研究は海洋研究開発機構(国立研究開発法人)と、東京大学・九州大学・東北大学・早稲田大学との共同プロジェクトよるものです。
 日本は世界第6位の広さの排他的経済水域をもっています。近海には石油代替エネルギー資源として期待されるメタンハイドレードやマンガン団塊、レアメタルを含む泥などが見つかり、今後の開発が期待されています。プロジェクトは、そうした資源のひとつとして、海底から噴き出す熱水が作る「チムニー」に注目したもの。チムニーはアリ塚のような形状をしていて、銅や金、亜鉛などの有用金属を多く含みます。ちょうど温泉の湯の花が固まったようなイメージといえるでしょうか。
 2010年に地球深部探査船「ちきゅう」により、沖縄トラフの熱水活動域で掘削調査が行われ、これにより複数の人工熱水噴出孔が形成されました。その後の無人探査機による潜航調査などから、この熱水噴出孔上でチムニーが1年で約7メートルと、急速に成長していることが判明。試料採取分析などの結果、沖縄沖のチムニーは亜鉛をはじめ銅、金、銀などの金属を多く含み、秋田県の山間部などで採掘されていた「黒鉱」と呼ばれる鉱石に成分が近いこと、しかも濃度は陸上黒鉱鉱床の高品位鉱石に匹敵するかそれ以上のものであることがわかりました。
 共同研究グループは、人工熱水噴出孔上に硫化鉱物に富む高品位のチムニーが急成長したメカニズムを利用して、黒鉱鉱石を養殖するプロジェクトに本格的に着手。 2016年2月、海洋調査船「ちきゅう」から沖縄トラフの熱水サイトに長期間モニターのための「黒鉱養殖装置」を投入し、実験を行っています。
  これまで、自然に成長したチムニーから採れた鉱石は1年で約40トン。鉱山として操業するには1日1000トン程度の規模が求められるそうです。沖縄沖の実験装置は12月に回収してデータ分析を行う予定とか。資源に恵まれない日本で、これから進められようとしている「鉱石の海底養殖」。夢のあるチャレンジを、静かに応援したいと思います。

本プロジェクトに関する海洋研究開発機構の報道資料はこちら☞
http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20160225_2/

 
2016/6/24  

リサイクルトレンドウォッチ(45)
国交省、コンテナ船で熊本地震の災害廃棄物を広域海上輸送
最大130万トン、中越地震の2倍の災害ごみ処理が課題に

 国土交通省は平成28年熊本地震に伴う災害廃棄物について、熊本港からコンテナ船を活用した広域海上輸送を6月13日より実施していると、21日に発表しました。
 熊本地震による災害廃棄物は、環境省によると大分県分を含めて100万~130万トンにのぼります。2004年の新潟県中越地震(60万トン)と比べても2倍程度に達し、11年の東日本大震災(2000万トン)、1995年の阪神大震災(1500万トン)に次ぐ量となる見通しです。熊本県は2年以内に処理を終える方針を固め、可能な限りリサイクルと減量化を図り、埋め立て処分量を減らしたいとしています。
 各市町村が主体となって一般廃棄物処理施設や民間の産業廃棄物処理施設を活用して処理が行われますが、作業を加速するため県や環境省が調整に入り、県外の処理施設を利用する広域処理も視野に検討が行われてきました。
 災害廃棄物の早期処理には、域内での処理に加え、状況に応じた広域処理が不可欠。過去には東日本大震災や平成27年関東・東北豪雨の際に、コンテナ船を活用して災害廃棄物の広域海上輸送が行われています。今回の地震では、災害廃棄物を熊本港から大阪港に海上輸送し、三重県の廃棄物処理施設に陸送する計画で、2船(積載可能コンテナ数72 TEU)を使用して、週3日の頻度で約2ヶ月輸送が行われるもようです。
 災害廃棄物は、M7級首都直下地震では1.1億トン、M9級南海トラフの巨大地震では最大3.5億トンになると見込まれ、南海トラフ巨大地震の場合、被災地だけで処理すると6~20年の歳月がかかるとされています。東日本大震災後、環境省は地域の災害廃棄物対策を強化するため、北海道から九州まで全国を8つに分けた地域ブロック協議会を立ち上げました。
 また、昨年9月には環境省が音頭をとり関連学会や業界団体が参加する「災害廃棄物処理支援ネットワーク」が発足。今回の熊本地震でも、神戸市や広島市が相次いでごみ収集車を派遣するなど、「遠隔地の自治体の支援を仰ぐ橋渡しにネットワークが役立った(環境省)」といいます。いつ起こるかわからない大規模自然災害に備え、平時からの取り組みがますます重要になっていることを痛感します。


国交省 熊本地震災害廃棄物・広域海上輸送についてはこちら☞
http://www.mlit.go.jp/report/press/port06_hh_000129.html
全国の災害廃棄物対策地域ブロックについてはこちら ☞
http://kouikishori.env.go.jp/action/regional_blocks/

 
2016/5/24  

リサイクルトレンドウォッチ(44)
廃棄物リスク事例---ダイコー廃棄食品横流し事件のその後
「処理困難通知」を受け取った委託企業の困惑

 今年1月、愛知県の産業廃棄物処理業者のダイコーが廃棄食品を不正に横流しするという前代未聞の事件が発覚しました。壱番屋の廃棄冷凍ビーフカツの流出を発端に、横流し事例が続々と明るみに出て、排出事業者として大手食品メーカーや流通企業の名前が次々と挙がるなど、社会に大きな衝撃を与えました。
 数ヵ月を経て一般的なマスコミ報道は少なくなったものの、業界内部では事件が尾を引き、波紋はいまも広がり続けています。
 愛知・岐阜・三重の3県にまたがるダイコーの工場や倉庫に残されている廃棄物の量は、約1万5000㎥にのぼると推定されます(愛知県、岐阜県、三重県の廃棄物担当課による推定の合計)。県内に推定8900㎥の廃棄食品がある愛知県は、2月29日、ダイコーに対して「廃棄物処理法で定められた上限を超える保管」などの違反にあたるとして、行政処分の改善命令を出しました。ところがこれを受けてダイコーは3月3日、同社に処理を委託していた52の取引企業(排出事業者)に「処理困難通知」を送付しました。
 「処理困難通知」とは、2011年施行の改正廃棄物処理法に盛り込まれた制度で、倒産などで事業を継続できなくなった産廃業者が排出事業者に通知するもの。この通知を受け取った排出事業者には、産廃業者に代わって環境保全上の措置を講ずる義務が生じます。今回の場合、事実上倒産しているダイコーに代わって、処理を委託していた取引企業(排出事業者)が、自らの負担で廃棄食品の悪臭や飛散防止の措置を講じ、保管場所から撤去し、処分を進めなければなりません。
 排出事業者による自主回収はすでに始まっているものの回収量は少なく、最も進んでいる愛知県でも4月時点での回収量は、排出事業者20社・124トンにすぎないとのこと。残された大量の廃棄食品は焼却処分するしかありませんが、腐敗による運搬の困難や、塩分含有食品の焼却の困難などで「処分費用は1トンあたり3-4万円に及ぶのでは」と見積もる元産廃Gメンも・・・
 愛知県は「今のところ排出事業者に対して報告徴収や措置命令などの行政処分を下す予定はない」としていますが、処理困難通知を受け取った排出事業者に回収を急がせています。悪臭など周辺への環境被害が深刻化すれば行政が代執行により回収を行う可能性もあり、その場合、一旦税金などで賄われる処理費用は、最終的には排出事業者に請求されます。社名公表による企業イメージの悪化や撤去費用の負担など、排出事業者が受けるダメージは測り知れないものとなります。
 『日経エコロジー』がダイコーと取引のあった排出事業者を対象に実施したアンケートによれば、回答企業の多くがダイコーを委託先に選んだ理由として「食品リサイクル法の登録再生利用事業者だった」ことを挙げています。改正廃棄物処理法で努力義務とされた処理状況の現地確認を実施していた委託企業も多かったものの、取引先の目を欺くダイコーの悪質な手口に、廃棄食品の横流しを見抜くことはできなかったようです。
 廃棄物処理事業者のコンプライアンスが何よりも問われていることはまぎれもない事実であり、われわれ業界は襟を正さなければなりませんが、委託企業側にも「登録事業者だから」「マニフェスト(産業廃棄物管理票)が返送されていたから」だけでは、不適正処理に巻き込まれる可能性を排除できないことを知っていただくことが必要です。
 「廃棄物リスク」から事業活動を守るためにも、廃棄物管理の徹底がいまや企業の最重要課題のひとつであることに、留意いただければと考えます。

※本稿は「日経エコロジー2016年6月号」をもとに構成しました。

 
2016/4/18  

リサイクルトレンドウォッチ(43)
PCB特措法改正案が閣議決定-- 2024年3月までのPCB全廃へ
使用中のPCB含有機器は23年度末までに専門業者への委託処理を義務づけ

 国内最大規模の食品公害「カネミ油症事件」の原因物質となった「ポリ塩化ビフェニール(PCB)」を高濃度で含む製品について、所有者に遅くとも2023年3月末までに専門会社への処理委託を義務づける(2024年3月末までの処理完了目標)特別措置法改正案が3月1日、閣議決定されました。今国会に提出され、今後は都道府県による監視が強化されることになります。
 PCBは、化学的に安定した物質で、耐熱性、絶縁性や非水溶性など優れた性質を持っていたため、かつては変圧器やコンデンサ・安定器などの電気機器用絶縁油や感圧紙、塗料、印刷インキの溶剤などに、幅広く利用されました。しかし、生体内に取り込まれやすく残留毒性が高いため、体内に多く蓄積すると健康被害をもたらします。食用油へのPCB混入により多くの被害者が出た1968年のカネミ油症事件を受け、1973年にはPCBの製造が禁止され、使用も中止されました。
 しかし、コンデンサなどPCBが密閉された状態にある製品については、使用が禁止されなかったため、現在もなお使用されているケースがあります。PCBが高濃度に含まれる製品には、高圧トランス、高圧コンデンサ、業務用蛍光灯の安定器などがあります。製造中止から30年にわたる長期保管により紛失や漏洩が懸念されることから、2001年にはPCB廃棄物の保管の届出や適性処理について定めた「PCB廃棄物「PCB廃棄物適正処理推進特別措置法」が制定されました。
 今回の改正案は、5000PPMを超える高濃度PCBを含む機器について、自治体に報告するとともに遅くとも2023年3月末までに専門会社への処理委託を行うことを、所有者に義務づけています。
 注意しなければならないのは、古い建物などの解体時に、有害物質のPCBを含むトランス、コンデンサ、蛍光灯安定器などが残されている可能性があることです。PCBを含む廃電気機器・廃油は普通の産業廃棄物とは異なる「特別管理産業廃棄物」になります。次の世代の環境安全を脅かすことがないよう、厳重な管理・処分を行うことが、事業者に求められています。

☞PCBについての基礎知識はこちら・JESCOホームページ
http://www.jesconet.co.jp/business/PCB/pcb_04.html
☞PCB含有製品についての産業廃棄物適正処理推進センターのチラシ
https://www.env.go.jp/recycle/poly/pcb-pamph/full5.pdf

 
2016/3/17  

リサイクルトレンドウォッチ(42)
「ご不要になった家電、引き取ります」--違法回収にご注意!!
鉄リ工業会中四国支部が“違法回収業者対策”のシンポジウム開催---官民の210名が参加

 「ご家庭でご不要になった、テレビ、エアコン、洗濯機、冷蔵庫…」と、スピーカーで喧伝しながら戸別回収してまわる軽トラック。「無料回収・お持込OK!」といった看板やノボリを立て廃家電などの持ち込みを促す拠点型不用品回収。いずれも全国で見られる日常風景ですが…そのほとんどが無資格業者による違法回収であることを、ご存じでしょうか?
 そもそも「テレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・乾燥機」の4品目は、家電リサイクル法にのっとって正規ルートで処分することが定められています。しかし、環境省が自治体を対象に実施した、「不用品回収業者の活動実態」の調査によれば、全国の約6割の市区町村で不用品回収業者の存在が確認され、そのうちの33%で苦情・トラブルが発生しています。
 環境省は、こうした違法回収による問題点は、回収された廃家電等の一部において ①処理廃棄物処理基準に沿ったフロン回収や鉛・その他有害物質の適正な処理が行われていないこと ②不法投棄が行われ地域環境を汚染していること ③海外へ輸出され、輸出の相手国や第三国を経由した再輸出先で不適正処分による環境汚染・健康被害を引き起こしていること にあると分析しています。また、こうした違法ルートによる無料回収や低料金回収が横行することで、本来の適法ルートでの処理との間に不公平感が生じ、家電リサイクル法そのものが形骸化する恐れがある、とも指摘しています。
 こうした現状を踏まえて、日本鉄リサイクル工業会中四国支部は、岡山市において2月15日、中国地方の自治体関係者、工業会会員など210名の参加を得て「違法回収業者対策についての勉強会」を開催しました。当日は、環境省企画課リサイクル推進室室長補佐・川崎直也氏の基調講演「違法な廃棄物回収業者の指導・取締について」に続き、早稲田大学環境総合研究センター招聘研究員の中島賢一氏をコーディネーターに、「地域リサイクルの在り方—鳥取県条例を踏まえて」をテーマに川崎氏ならびに、鳥取県生活環境部循環型社会推進課、広島県環境県民局循環型社会課の担当官と、鉄リ工業会メンバー社によるシンポジウムを行なって課題の整理と意識の共有を図りました。

☞違法回収の問題点と正しい家電リサイクルについての環境省の動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=4vQTE1rqhx0
☞違法回収に関する環境省の警告チラシはこちら
https://www.env.go.jp/recycle/kaden/tv-recycle/attach/ad_tool26-01.pdf


 
2016/2/17  

リサイクルトレンドウォッチ(41)
「水銀に関する水俣条約」、日本も締結国に
蛍光管・体温計・ボタン電池など水銀含有製品の回収は?

 2月3日、日本は水俣病の原因となった水銀を国際的に規制する「水銀に関する水俣条約」を締結しました。この条約は、水銀による健康被害を防ぐためにその使用や取引を規制し、国際的に管理しようとするもので、2013年に熊本県で開かれた国連の会議で採択され、日本を含む97ヵ国が署名しています。
 日本は世界で23ヵ国目の締結国となったもようで、50ヵ国が締結後90日目の発効が定められた同条約は、年内にも発効する可能性が高いとされています。
 条約では、水銀鉱山の新たな開発を禁止。輸出も制限されます。化粧品や温度計などの水銀添加製品は、原則として2020年以降の製造や輸出入が禁止されることに。また火力発電所などからの水銀排出への対策や、水銀廃棄物の適切処理が求められます。途上国では小規模な金採掘で精製に水銀を使うことが問題となっており、これをなくすように努めるとしています。
 これまでにも、水銀の移動・処分・取引を定めた「バーゼル条約」と「ロッテルダム条約」が存在しましたが、水銀のライフサイクル全体にわたる規制は「水俣条約」が初めてのものです。
 日本では条約締結に先立つ昨年6月、蛍光灯など水銀添加製品の製造を原則禁じる法律が国会で成立しています。この水銀製品禁止法は「水銀が適正に保管されるようルールを定め、事業者に国への定期報告を義務づける。水銀の採掘や、水銀を使った金の採取も禁止する。廃棄時の分別・回収を促すため、水銀が含まれる製品は本体や説明書に表示するよう製造業者に努力義務を課す」というもの。今後は、生産活動における環境対策の実施や、廃金属水銀・水銀添加廃製品に関する管理・処分の規制、基準の強化が進むものと思われます。
 一方で、水銀体温計、血圧計、蛍光管、ボタン電池など、私たちの身の回りには多くの水銀含有製品が出回っていますが、有害廃棄物として適正に回収・処理されているものはまだ少なく、不燃ごみや可燃ごみに分類されて埋立・焼却処分している自治体が多数あることが環境省の実態調査でもわかっています。
 日本の提案により名称が定められた「水俣条約」。有害な水銀の適正な分類・回収・処分の推進のためにも、まずは正しい知識の普及に私たちも努めていきたいと考えます。

☞水銀に関する国内外の状況についてはこちら
https://www.env.go.jp/council/05hoken/y0512-01b/mat03.pdf

 
2016/1/25  

リサイクルトレンドウォッチ(40)
2050年には海のブラゴミの量が魚を上回る?
“プラスチックのスープ”ともいわれる海洋汚染の実態

 ダボス会議の名称で知られる「世界経済フォーラム」(本部ジュネーブ)が、「世界の海に漂うプラスチックごみの量が今後も増え続け、2050年までに重量換算で魚の量を超える」と予測する報告書を今月、発表しました。報告書によると、世界のプラスチックの生産量は1964年の1500万トンから2014年の3億1100万トンへと50年で20倍以上に急増。今後20年間でさらに倍増するとみられています。毎年少なくとも800万トン分のプラスチックが海に流出。このまま対策を取らなければ、50年までには海のプラスチックの量が魚を上回る計算になる、としています。
 プラスチック容器のリサイクル率はわずか14%。紙の58%や鉄鋼の70~90%を大幅に下回っており、報告書はプラスチックのリサイクルを促進し、海など自然界への流出を防ぐ対策の強化が急務だと指摘しています。
 今や海は“プラスチックのスープ”ともいわれるほど、深刻な汚染状態にあります。最近では、細かく砕けたプラスチック粒子が海を漂う「マイクロプラスチック」も新たな環境問題として注目を集めています。
漂流・漂着ゴミの70%を占めるプラスチックごみは紫外線や大きな温度差により劣化し、波に洗われて次第に細片化しますが、このうちサイズが5mm以下のものは「マイクロプラスチック」と呼ばれ、世界各地の海域で数百μmから1㎜程度の大きさのマイクロプラスチックの浮遊が確認されています。これらの微細片は動物プランクトンと同程度の大きさであるため魚類が誤食しやすく、魚が微粒子を取り込むことで食物連鎖による有害物質の濃縮につながることも懸念されます。
 環境省や気象庁もマイクロプラスチックに係る調査を始めており、今後、その実態が徐々に明らかになっていくものと思われます。

☞環境省の漂流・海底ごみ実態調査についてはこちら  
https://www.env.go.jp/press/files/jp/26885.pdf
https://www.env.go.jp/press/100893.html

 
2015/12/24  

リサイクルトレンドウォッチ(39)
地球温暖化と難民問題---COP21の水面下に
アフリカ・中東の難民急増の背景には温暖化の環境要因

 12月12日、パリで開催されていた第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で、2020年以降の温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」が採択されました。新しい国際ルールは18年前の「京都議定書」以来。条約に加盟する全196ヵ国・地域が温室効果ガスの削減に参加する枠組みはこれが史上初めてで、世界の温暖化防止対策は新たなステージに入ったことになります。
 COP21は、パリの同時テロからわずか2週間あまりの開催ということもあり、冒頭、議長国フランスのオランド大統領は「我々はテロと地球温暖化という2つの戦いに打ち勝たねばならない」と表明しました。地球温暖化とテロ、一見かけ離れた二つの事象には、実は深いつながりがあると思えてなりません。
 Center for Science and Policyは、科学者、政策アナリスト、財政・軍事リスク専門家など世界11ヵ国・40人以上の専門家による諮問報告書「気候変動:リスク評価」を発表しています。それによれば、地球温暖化が進むと、農業地や緑地が減少して砂漠化がさらに顕在化。優良な土地と水資源をめぐる争いが起こり、難民や移民の増大、内戦やテロなどが起きやすい状況がつくられる。特に中東やアフリカなど、政情不安定な地域では、その可能性が高い、としています。
 アニエス・シナイは「気候変動が紛争を増大させる」(世界11月号)で、2006年から11年にかけ干ばつに襲われたてシリアでは、2200万人の人口のうち150万人がその影響を受けた。困窮した農家と牧畜業者が大量の移民となって都市に向かい、これが政治的不安定の淵源となった。また、2010年から11年に中国東部での降水不足から中国政府が小麦の大量輸入に踏み切ったことが小麦の国際価格暴騰を招き、これが同じく大干ばつに見舞われていた東アフリカ地域での食糧価格の高騰につながって民衆の広範な不満を呼び、ムバラク政権倒壊やシリア内戦の一因となった---と指摘しています。
 科学誌「ネイチャー」の論文には、南半球でエルニーニョ現象が起きているときには、世界で内戦が起こる可能性が2倍になる、との指摘もあります。
 地域紛争の頻発や迫害により出国を余儀なくされている難民は世界で1590万人とも2000万人ともいわれますが、これらの人々のうち環境が破壊されたことによって居住地を離れなければならなくなった人々は「環境難民」と呼ばれています。1998年の世界銀行の推計によれば、環境の悪化による国内及び国際的な人口移動は約2500万人に達し、紛争に起因する難民の数を超えた、とされています。地球温暖化による海面上昇や、大気汚染、干ばつ、土壌劣化などから、今後さらに大量の環境難民が発生する可能性は残念ながら否定できないでしょう。
 2015年、世界を震撼させた2つのテロ事件の舞台となったパリで採択されたCOP21パリ協定。“持続可能な地球環境と社会”を探っていくことの難しさを、深く考えさせられる年末のトピックでした。

 
2015/11/23  

リサイクルトレンドウォッチ(38)
リユースでクラウドファウンディング
ヤフーと電通が新サービスを開始

 最近、よく見聞きする“クラウドファウンディング”という言葉---群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、新しい製品・サービスの開発などをめざすクリエイターや起業家が、インターネットを通じて不特定多数の人から資金の出資や協力を募るしくみを指します。
 2000年以降米国発で始まり、世界での市場規模は2013年で5100億円、2014年は1兆4000億円(予測)と急拡大。日本でも2013年の市場規模は約6億円に達したといわれます。
 この11月4日、国内最大級のインターネットオークションサイト「ヤフオク!」と、電通子会社の「電通ソーシャル・デザイン・エンジン」が、リユースを通じて支援を行う新しい仕組みのクラウドファンディングサービス「reU funding」を開始しました。
 「reU funding」は、使わなくなったモノを売ったり、プロジェクト実行者のモノを買ったりすることで生まれたお金で、賛同プロジェクトを支援できるシステム。循環型社会の実現に貢献しながらプロジェクトを支援できる点が、従来のクラウドファンティングとは異なる「三方よし」のしくみだといいます。
  第1弾として、建替えのため2015年8月末に本館を閉じた老舗ホテルの「ホテルオークラ東京」がプロジェクトを活用しました。旧本館の客室やレストランで使用していたテーブルセットやソファーなどの家具を中心に300点以上を出品、その売上を困難な立場にあるこどもたちにオーケストラ教育を行っている団体「エル・システマジャパン」への支援に使うとのこと。目標金額の100万円に対し、すでに32倍以上の支援金が集まっているもようです。
 単純なモノのリユースではなく、この場合であれば、「ホテルを愛好してきたお客さまさとの思い出の共有」と「こどもの音楽活動支援」という心理的・社会的価値を付加するところが特長です。モノの消費からコトの消費へ、消費のトレンドはすでにシフトしています。今後はさらに一方的に受け取る消費から自らが関与する参加型・イベント型の消費に人々の関心が高まってゆくでしょう。“リユースを通じて人の夢や未来を応援する新しい仕組みのクラウドファンディングサービス”との謳い文句が、どのように支持を広げていくのか…期待し、注目したいところです。

☞「reU funding」のサイト
  http://reu.auctions.yahoo.co.jp/

 
2015/10/15  

リサイクルトレンドウォッチ(37)
燃えるゴミから炭化燃料
長崎県西海市で資源化処理施設が稼働

 長崎県西海市で、燃えるゴミを炭化燃料に代える処理施設がこの夏から稼働しています。人口は約3万人の西海市では、既存の2クリーンセンターの耐用年数が近づき、維持管理面からも非効率な状況となっていました。これを改善するために、「西海市エネルギー回収推進施設整備・運営事業」として2007年度から新施設を検討。行政が資金を調達し設計・建設・運営を民間に委託するDBO事業化方式により、「西海市炭化センター」を開設しました。電源開発と川崎重工業の共同出資によるグリーンコール西海が運営にあたっています。
 収集された廃棄物は間接キルン式の炭化炉において粉塵・撹拌化され、約450度の炉内でほぼ無酸素の状態で約1時間かけて炭化されます。その後、脱塩や異物除去を行いペレット状の燃料として搬出。また、炭化炉で発生した熱分解ガスは、燃焼炉以降の排ガス処理系統で環境基準値を超えないよう適切に処理され、熱分解ガスのエネルギーの一部は炭化や脱塩等に必要な熱源として有効利用されるしくみです。処理能力は1日あたり30トン。新施設では、下水やし尿の汚泥も集約して処理。下水道事業の終末処理・汚泥処理施設としての機能も担っています。
 炭化は、重量比・容積比でごみの約8分の1に減容でき、輸送コストも大幅に減少します。全国では、広島市(西部水資源再生センター)、熊本市、大阪市などでも下水汚泥の低温炭化が行われています。
 西海市は「ごみゼロ長崎」を掲げる長崎県から“環境実践モデル都市”の指定を受けており、「炭化センター」の稼働により循環型社会の形成・低炭素社会の実現に向けた取り組みを加速したい、としています。


 
2015/9/15  

リサイクルトレンドウォッチ(36)
「江戸のリサイクル考②」
下肥・灰は循環資源として商品化され、大産業を形成した

 化石燃料に依存した大量生産・大量消費の社会システムに翳りがさす今日、循環型社会のお手本としての江戸時代に注目が集まっています。人口約100~125万人と推定される江戸は、当時、世界最大の都市でした。1800年頃のロンドンの人口が約86万人、パリが約67万人であったことを考えると、そのスケール感がわかります。大都市・江戸の特長は、太陽エネルギーと植物の恵みを徹底的に利用する、循環型社会であったこと。それを可能にしたのが、高度な物流や職能集団の存在だったといわれます。
 急増する都市人口を支えるために新田開発が進んだ江戸では、肥料の需要が供給を上回ります。江戸期には桶や樽(コンテナ)が開発され、新たな水路(海路・運河)も整備されたことから、下肥が商品として広域に流通する下地が整っていました。
 江戸初期には排泄物やごみの河川への投棄が行われていましたが、1655年には江戸町奉行が投棄禁止令を発布。やがて深川にごみ集積所が作られ、18世紀中頃には専門業者によるごみ収集が始まっています。下肥問屋は都市の店や家主と年単位で契約し、船、人足、河岸などを調達して下肥を運び、代価として盆暮れに現物や現金を支払いました。下掃除権が株として売買され、同業組合が結成されて規制や町方との交渉にもあたるなど、いわば肥料産業が形成されたといえます。
 下肥と並ぶ循環資源の灰も同様で、裾野には今日の化学工業に匹敵する産業が形成されました。灰はカリ肥料、酒造、製紙、繊維、染色、釉薬、洗剤など、幅広い用途分野に使われる汎用化学品であり、灰買いという専門商社が家庭の竈や店の灰小屋からこれを集めて供給したのです。
 徹底した循環システムにより、合理的に運営された江戸はまた、世界に類のない衛生都市でもありました。都市と農村、人と自然、エネルギーとエントロピー…すべてのバランスをとりながら調和をはかる江戸の知恵としくみには、まだまだ学ぶべき多くの要素が秘められているようです。

 
2015/8/11  

リサイクルトレンドウォッチ(35)
太陽光発電設備---2040年度には80万トンが廃棄物に
リサイクル・リユース・適正処分の推進へ向け、取り組み始まる

  猛暑の日本列島で、今年もじわじわと存在感を発揮している太陽光発電。2012年7月に電力の固定価格買い取り制度(FIT)が始まって以来、すでにその導入実績は1700万キロワット以上に達しています。環境省は先ごろ、急速に広がった太陽光発電設備が耐用年数を迎えた際の廃棄物排出量について、試算を発表しました。それによると、設備寿命を25年とした場合の排出見込量は、2020年度で3千トン、2030年度で約3万トン、2040年度で約80万トン。2015年度の推計排出量約2400トンから、急激に膨らむことが予想されています。
  FIT導入から10年が経過する2022年には住宅用(10kw未満)設備の買取期間が終了を迎え始め、2032年には10kw以上の非住宅用設備も20年間の買取期間終了を迎えて廃棄が始まることから排出量が急増するもので、特に太陽光発電の盛んな関東や九州において排出量が大きくなると予想されています。
  排出見込量試算とともに、太陽光発電設備のリユース・リサイクル・適正処分の推進に向けて行われた検討では、配線に含まれる銀・銅は含有量で試算価値が決まるが個体差が大きいこと、パネルについてはガラスを分離すれば精錬業者において銀・銅の有用金属のリサイクルが可能であること、結晶系パネルの一部で検出されるセレンの埋立て処分への影響が懸念されることなどが指摘されています。
  また現状では撤去費用が大きく、得られる資産価値よりもリサイクルコストが大きいとしつつも、効率的なリサイクルスキームが構築されれば埋立てよりもリサイクルの経済性が高くなる可能性があるとしています。
  太陽光発電の普及が進む欧州では、2014年からメーカーによるパネルの回収・リサイクルを義務づける制度が始まっており、日本国内でも、適正な処分とリユース・リサイクル制度の構築に向け、これから一歩一歩、取り組みが行われていくものと期待されます。

太陽光発電設備のリユース・リサイクル・適正処分の推進に向けた検討結果についてはこちら☞
http://www.env.go.jp/press/files/jp/27421.pdf

 
2015/7/27  

リサイクルトレンドウォッチ(34)
繁茂竹林を“やっかいもの”から“地域エネルギー資源”へ
世界初の竹燃料によるバイオマス発電、山口県に建設計画

 竹取物語の昔から、日本の里山の原風景でもあった竹林。しかし近年では、竹材の需要減や輸入筍の増加により竹林が放置され、全国で雑草のごとく増殖して「竹害」もたらしています。繁茂竹林の急速な拡大は、人工林を浸食し森林を荒廃させる同時に、豪雨災害発生の危険性を高めるなど、各地で社会問題になっています。
 そうしたなか、世界でも初めての竹を燃料として専焼するバイオマス発電所を、藤崎電機(徳島県)がドイツのバイオマス発電事業会社と共同開発。第一号の発電所を山口県に建設すると発表しました。発電所の出力は約2000キロワットで、年間想定発電量は約1万5800MW(メガワット)/h。一般家庭4860世帯分の年間電力消費量に相当し、中国電力に売電される予定です。
 バイオマスは再生可能エネルギーの一つ。木材チップなどを燃やして作った蒸気でタービンを回して発電しますが、竹を燃料に使う場合、カリウムが溶け出してボイラーを損傷するなどの問題がありました。両社は共同開発技術によりこれらの課題をクリアー。全国4位の竹林(面積12千ha、推定量153万t)を有し、林野庁から委託を受けて竹の伐採・チップ化・燃焼の実証事業を日本で唯一行っている山口県で、第一号の竹専焼バイオマス発電事業を展開することを決定したようです。第2号発電所の徳島県での建設も決まっており、そのノウハウを活かして国内100~200MW、海外200MWの事業展開を目指すといいます。
 政府は2030年度の電源構成で、バイオマスの割合を3.7~4.6%としており、風力(1.7%)や地熱(約1%)より高い目標を掲げています。一方でバイオマスは発生量が限られ、発電所が乱立すれば燃料資源が不足する、との見方も。大型発電所の立地が相次ぐ九州では、「すでに一部で燃料の取り合いが始まっている」ともいわれます。
 バイオマスが新たな電源として存在感を高める上では、有限資源のバイオマスをどう集荷するかが大きな課題。いまは“やっかいもの”の「繁茂竹林」が、今後“地域エネルギー資源のニュープレイヤー”として注目されることになるかもしれません。

 
2015/06/30  

リサイクルトレンドウォッチ(33)
「空き家対策特別措置法」が完全施行
全国に空き家820万戸の現実。「特定空家」には自治体の撤去命令も…

 人口減や高齢化を背景に、全国で空き家が急増し社会問題になっています。総務省が5年ごとに行う「住宅・土地統計調査」によれば、平成25年の日本の総住宅数6063万戸のうち、空き家数は820万戸。空き家率は13.5%で、全住宅のほぼ7戸に1戸が空き家という状況になっています。
 空き家率が初めて1割を超えたのは平成10年(11.5%)ですが、以後も年々増え続け、空き家数、空き家率ともに過去最高となりました。この5年間でみれば、総住宅数が304万戸増加する一方で、空き家も63万戸増加、というねじれた構造がうかがえます。
 各地で空き家対策が求められるなか、平成26年11月に「空き家対策特別措置法」が成立、平成27年5月26日より完全施行されました。これにより、倒壊の恐れや衛生上の問題がある空き家については、市町村が所有者に撤去を命令できるようになりました。
 法律が問題視する「空き家」とは、居住その他の使用がなされていないことが常態である建築物(年間を通じて人の出入りや電気・ガス・水道の使用がないなど)。そのうちでも特に
 ・倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
 ・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
 ・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
 ・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
にあるものは「特定空家」とされ、自治体が判断し、市町村長の助言や命令が及ぶことになりました。法施行後、これまでは登記だけで特定できなかった空き家の所有者を、固定資産税の納税記録によって特定できるようになり、調査の結果「特定空き家」と認定された場合には、撤去や修繕の指導、勧告、命令が行われ、従わないと固定資産税の住宅用地特例の優遇措置が解除されます。
 老朽化して危険になった住宅がそのまま放置される背景には、空き家を取り壊して更地にした場合に固定資産税が3~6倍にはね上がるという現実があったため、特措法がこのポイントを崩した形です。
 国交省の調べでは、2014年10月時点で、全国401自治体が空き家に関連する条例を定めており、危険な空き家対策にますます拍車がかかるものと思われます。

◆総務省 住宅・土地調査統計(最新版)はこちら☞
 http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/topics/topi861.htm
◆家屋解体に関する当社のサービスはこちら☞
 http://www.m-kou.co.jp/dissection.html

 
2015/06/17  

リサイクルトレンドウォッチ(32)
クロネコヤマトがネット通販向けに家電リサイクル代行サービス
配達・回収・事務代行のワンストップサービスで成長分野でのシェアを拡大
 
 スマートフォンの普及もあってインターネットが生活のインフラとしてすっかり定着した昨今。家電小売市場においてもインターネット通販の構成比は徐々に拡大しており、2014年は初めて10%を超えました。2014年の家電小売市場規模は前年比1.2%増の7兆5400億円。うち7800億円がインターネット経由で販売されています。
 そうしたなか、ヤマトホールディングス傘下のヤマトホームコンビニエンスが、この7月からインターネット通販企業向けに家電製品のリサイクルを代行するサービスを始めると、今日報じられました。
 引っ越しなどを手掛けるヤマトホームは、家電製品の配達や据え付けも行っており、リサイクルする廃家電の回収も手掛けてきました。今後は、大型家電の新品の配達とリサイクルする廃家電の回収に加え、必要な事務代行を一括で請け負うといいます。全国に拠点を持つ強みを生かし、通販企業の手間を軽減するサービスに先鞭をつけるかたちになります。
 家電リサイクル法対象の3品目とエアコンについては、新品を販売した小売業者に不要になった廃棄品の回収が義務付けられており、これまでネット通販企業は廃家電をリサイクル工場に持ち込むための書類を作成するほか、新品の配達と廃棄品の回収の委託先を探す必要がありました。ネット通販業者にとっては膨らむ処理コストの低減が課題でしたが、ヤマトホームの新サービスはこうした手続きをまとめて引き受けようというもの。全国約150カ所の拠点を活用して、当面は冷蔵庫、洗濯機、テレビを対象にサービスを開始するようです。
 製品の大きさや搬送距離にもよるものの、新品の配達と廃家電の回収・搬送にかかる料金はおおよそ1万円程度。リサイクルに必要な書類の作成と、リサイクル工場への持ち込みも1台当たり約800円で代行し、ネット通販に力を入れる家電量販チェーンにもサービスを提供するといいます。
 ヤマトホームでは従来別々に営業していた新品配達と回収の両事業を一体化し、さらに事務代行を加えたワンストップサービスの体制を整えることで、2013年度に約32万台であった回収実績を、18年度には100万台に伸ばしたいとしています。

 
2015/05/20  

リサイクルトレンドウォッチ(31)
地球温暖化対策の切り札といわれるCCS(CO2回収・貯留)
国内実証研究や国際協力が進展中

 日本で発生する温暖化ガスの9割以上を占めるCO2。その削減策の切り札として注目されているのが二酸化炭素回収・貯留技術の“CCS”です。
 CCSは、Carbon dioxide Capture and Storageの略。工場や発電所などから発生するCO2を大気放散する前に回収し、地中貯留に適した地層まで運び、長期間にわたり安定的に貯留する技術です。CO2の早期大規模削減が期待できるため、地球温暖化対策の切り札ともいわれています。
  直近では4月28日、経済産業省が米国エネルギー省とCCSについて研究成果の共有や技術協力を行う趣旨の協力文書を交わしたと報道されましたが、日本ではこれまでにも国や民間によるプロジェクトが行われてきました。
 北海道苫小牧市では経産省の委託事業として石油元売り、電力会社などによる大規模な実証事業が2012年度から進行中。この実証事業では、2016年度以降、供給源となる製油所で発生したガスからCO2を分離・回収し、年間10万トン以上のCO2を苫小牧港の海底下の貯留層へ圧入する計画で、今年度までにその分離・回収設備や圧入井の建設、事前調査などが行われます。
 CCS技術が実用化された社会では、火力発電所や化学プラントなどの排出ガスからCO2を分離し、高濃度CO2として回収。パイプラインやタンクローリーなどで輸送し、圧縮機を利用して地表から1000メートル以上もの深さにある「帯水層」にCO2を圧入。上部の遮へい層に覆われた貯留層では、長い年月を経てCO2が塩水に溶解したり、岩石の隙間で凝固して鉱物になると考えられています。世界では、生産を終了したガス田や油田にCO2を圧入・貯留するCCSも行われています。
  国内のCO2貯留能力を調べた「貯留層賦存量調査」によれば、日本におけるCO2貯留可能量は約1400億トン。日本の年間CO2排出量の100年分に相当するとか。壮大な環境技術による地球温暖化防止の対策前進へ向けて、国境を超えた研究・実証がさまざまな形で進められつつあります。

CCSのしくみについてはこちら ☞
 http://www.japanccs.com/about/
世界のおもなCCSプロジェクトについてはこちら ☞
 http://www.japanccs.com/about/world/

 
2015/04/15  

リサイクルトレンドウォッチ(30)
「江戸のリサイクル考①」
土地の生産性を上げる多彩な「肥え」が利用された

 限られた資源やエネルギーを有効利用しながら、循環型社会を形成する---このテーマを考えるとき、「優れた循環型社会であった江戸時代」が、たびたび引き合いに出されます。
 2014年の日本は、エネルギーの96%、食糧(カロリーベース)の60%を海外からの輸入にたよっていますが、鎖国の続いた江戸時代の約250年間、すべてのエネルギーや資源は国内でまかなわれていました。江戸のリサイクルのしくみは、まさに膨大な知恵と工夫の宝庫です。
 それを象徴的するのが「肥え」の多様性。いま「廃棄物」とされているものは、江戸時代「肥え」と呼ばれていました。動物の排泄物も、人間の排泄物も、生活から出るものも、すべては「ゴミ」でなく「土を肥やすもの」として、集められ、運ばれ、再利用されたのです。
 江戸時代以前にも、日本古来の農法として、収穫の後で別の山野から草を運んで土に踏み込んだり、草木の杯を撒くことが行われていましたが、江戸時代にはさまざまな流通や 運搬のしくみが整えられたため、土壌を豊かにする多様な施肥のノウハウが実践されました。
 江戸の有名な農学者であった大蔵常永は、「農稼肥培論」に、小便、人糞、水肥、緑肥、草肥、泥肥、すす肥、塵芥肥、油粕、干鰯、魚肥、きゅう肥、馬糞、ぬか肥、毛・爪・皮の肥、しょう油肥、干しにしん、ます粕、まぐろ粕、豆腐粕、塩かま、酒粕、焼酎粕、あめ粕、鳥糞、貝類の肥など、バリエーションに富んだ肥料を列挙しています。
 水肥とは、魚の洗汁、台所で使った洗い水、風呂の湯、洗足や洗濯後の水などを指し、現代のように化学物質を含まない生活排水はそのまま土壌を肥やすものであったことがわかります。緑肥は土地を1年間休め、そこに緑豆、ゴマ、大豆などをすきこむもの。草肥は刈り取った草や芽を藁に混ぜて牛馬に踏ませたもの。泥肥は池や川を浚渫した泥を乾かしさらに干し草や焼灰などを混ぜたもの。油粕は大豆、菜種、綿実、ゴマなどから油を搾った残り…。
 ありとあらゆるものが、土壌を豊かにし、土地の生産性を上げる「肥え」としてリサイクルされ、活用されていたことがわかります。しかもそのリサイクルと循環は、極めて意識的・組織的に行われるものでした。肥料の商品化と流通については、次回。

 *現代への示唆に富んだ江戸のリサイクルと循環思想について、順次掲載してまいります。

 
2015/03/16  

リサイクルトレンドウォッチ(29)
御社のフロン対策、大丈夫ですか? ----改正フロン法が4月1日より施行
業務用冷凍空調機器に厳格なフロン類管理(点検・整備)を義務化

 業務用エアコンや冷凍・冷蔵ショーケースなど、フロン類を使う業務用機器のユーザー企業に、より厳格なフロンの管理を求める改正フロン法が、2015年4月1日からいよいよ施行されます。
 オゾン層保護のためのモントリオール議定書(1987年)により、HCFC(特定フロン)は先進国で2020年の全廃が決められ、HFC(代替フロン)への代替が進んでいます。しかしこのHFCはCO2の数百~1万倍以上の温室効果をもつことから、京都議定書(1997年)で排出量削減が決まり、排出抑制の取り組みが進められてきました。
 現在は「フロン回収・破壊法」(2001年)の基に、業務用冷凍空調機器の整備や廃棄を行う際にはフロン類を回収・破壊することが義務づけられ、登録事業者による回収と破壊処理が行われています。
 フロン類の回収量は年々増加しているものの、回収率は未だ3割程度にとどまっていることや、HFC排出量の急増(2020年には現在の2倍以上)が見込まれること、また冷凍空調機器の設備不良や経年劣化等により想定以上に使用時のHFC漏洩が生じていることが判明したことなどから、2013年6月「フロン回収・破壊法」が改正され、「フロン排出抑制法」として2015年4月から施行されるものです。
 改正フロン法により、業務用冷凍空調機器のユーザー企業(機器の管理者)には、従来の機器廃棄時等のフロン類の回収に加え、以下のような義務が生じます。
 1) 3カ月に1回以上の簡易点検、大型機器は1年に1回以上の定期点検の実施
 2) 漏洩個所を修理せずにフロン類を継ぎ足すことは原則的に禁止
 3) 機器整備履歴の記録・保存
 4) フロン類を年間に一定量以上漏洩させた事業者は、漏洩量を国へ報告
 また、業務用冷凍空調機器の設備施工・保守・メンテナンス事業者には、冷媒の充填に関わる実施基準、充填・回収証明書の発行、破壊業者・再生業者への引き渡しスキームの整備等、新たな責務が生じます。
 小型の冷水機・給茶機なども規制対象となることから、業種を問わず多くの事業所が改正フロン法の対象となりますが、認知はなかなか進んでいない様子。まずは自社所有の業務用冷凍空調機器の台数と、充填されているフロン等冷媒量を把握することから、フロン対策を考えてみてはいかがてしょうか。

フロン排出抑制法の概要(経済産業省/環境省)はこちら☞
http://www.jreco.or.jp/data/guidance_1.pdf

 
2015/02/25  

リサイクルトレンドウォッチ(28)
新エネルギーとして脚光を浴びる下水---熱利用に加え、バイオガスからの水素製造も

 下水が新たなエネルギー源として注目を集めています。下水道は、下水や汚泥の処理に伴い大量の温室効果ガスを排出している一方で、大きなエネルギーポテンシャルをもっています。
 国土交通省によると、2012年度に全国で発生した下水汚泥は224万トン(乾燥ベース)。発電可能量は年間40億kWhに達し約110万世帯が1年間に使える電力をまかなえる資源ですが、エネルギー利用された割合はわずか13%。全国の47ヵ所でバイオガス発電に使われたのみで、残りは埋め立て処分されたりセメント材料として利用されたりしています。
 冬は外気より最大で10℃程度温かく、夏は逆に10℃程度低い下水の温度差エネルギーを冷暖房に生かせば、通常の空調より25%の省エネになるそうです。年間140億㎥の下水処理量から発生する下水熱は7800Gcal/hで約1500万世帯の年間冷暖房熱源に相当しますが、下水処理場内でわずかに使われるのみで、下水熱を利用した地域熱供給は全国で12ヵ所にとどまっています。
 こうした未利用資源としての下水を、有効活用しようとの機運が、各所で高まりつつあります。国土交通省が平成24年度に設置した「下水熱利用推進協議会」では、産官学の連携により未利用下水熱のポテンシャルマップづくりや、下水を利用した熱源水ネットワークによるビルや一般家庭の地域冷暖房実証が進んでいます。
 資源としての下水のメリットは、既存インフラが普及していることに加え、エネルギーを多く使う都市部に集約されており、輸送の必要がないこと。さらに、技術開発が進み多様なエネルギー利用の可能性が開かれていることも、今後への期待につながっています。
 下水汚泥から水素を製造し、燃料電池自動車(FCV)に供給しようという動きもそのひとつ。プラントメーカーの三菱化工機は全国で初めて、汚泥を原料とした水素スタンドを3月にも福岡市の中部水処理センターに開設する予定。汚泥の発酵で発生したバイオガスを改質し、1日にFCV60台分、3300㎥の水素を製造するといいます。
 水処理大手のメタウォーターは、下水処理場への燃料電池電池導入を推進。現在国内5ヵ所の処理場に燃料電池を置き、バイオガス改質の水素で1500kWの電力をつくっていますが、発電能力を2700kWに高める予定です。
 燃料電池はバイオガスを燃やしてタービンで発電するのに比べ発電効率が高いのがメリット。将来は、自治体が下水処理場の汚泥から水素--燃料電池を介して電力自給し、余剰分を売電するケースも出てくるかもしれません。
 国交省によれば、全国約300ヵ所の下水処理場から1年間に生じるバイオガスの約3割=8500万㎥が未利用のまま空中に放出されており、これを水素に改質すると約260万台のFCVをフル充填できるとか。温暖化抑制にもつながる未利用エネルギーとしての下水の活用。今後の取り組みに大きな期待がかかります。

 
2015/01/21  

リサイクルトレンドウォッチ(27)

2015年は「水素元年」
クルマが変わる、エネルギーが変わる----水素社会への胎動


 2014年12月15日、トヨタ自動車が世界に先駆けて燃料電池車(FCV) 「ミライ」の一般発売を開始しました。FCVは燃料の水素と空気中の酸素を車載の燃料電池によって反応させ、発電して得た電気で走るクルマ。排出するのは水だけで、CO2や有害物質を出さない「究極のエコカー」といわれます。FCVの走行に不可欠な水素ステーションは、2015年度までに4大都市圏を中心に100ヵ所が整備される計画で、これらを指して、「2015年は水素元年」ともいわれます。
 2014年4月に策定された国の新たな「エネルギー基本計画」では、「将来の二次エネルギーでは、電気、熱に加えて水素が中心的役割を担うことが期待される」と、水素を位置づけています。水素が化石燃料や電気と同様に、社会の基盤エネルギーとなり得る、と期待される理由は…
 ・水素は水や化合物の状態で、地球上に無尽蔵に存在する
 ・宇宙ロケット燃料に使われるほど大きなパワーをもつ
 ・燃焼しても水に戻るだけ。CO2や大気汚染物質を排出しないクリーンエネルギー
という特性をもつからです。
 加えてもうひとつ重要なポイントは、「水素はさまざまなエネルギーの運び役(キャリア)になれる」ということ。電気は大量に貯蔵することができませんが、電気を水素の形に変えれば、大量貯蔵・輸送・利用が可能です。自然エネルギーの導入が進み、大規模ソーラー発電や風力発電が建設されていますが、これらは天候・季節に大きく左右されるため出力制御が難しく、発電量が増大して大量の余剰電力が系統に流れ込むと、停電などの原因となります。そこで発電量が需要を上回るときは余剰電力で水を電気分解して水素をつくり貯蔵。電力需要が高まれば燃料電池で再び発電します。貯蔵した水素は水素ステーションからFCVに供給したり、配管を通じて発電・暖房・工業用途に活用することもできます。
 また水素は、家畜ふん尿や下水汚泥からなど、さまざまな物質からつくることができるため、ユニークな地産地消のエネルギーシステムの構築を可能にします。すでに全国各地で自治体・企業・大学などによる、水素利活用の共同研究プロジェクトが進められています。
 石油化学や製鉄プロセスなど、国内で発生する水素のうち、現在有効活用されているものは約半分程度。「都市鉱山」と同様の、足元の未利用資源としての水素。クルマだけでなく、日本のエネルギー地図を大きく変える新たなプレイヤーとして、ますます注目される存在になりそうです。

 
2014/12/25  

リサイクルトレンドウォッチ(26)

自動車25%軽く---炭素繊維に代わる注目の新素材、「木材繊維」
鉄より強くて軽い木材?? CNFとは…


 航空機などの主要材料として利用される「炭素繊維」は、日本のメーカーが世界に先駆けて1971年に量産に成功した新素材。鉄やアルミニウムに代わる素材として、航空機、高級自動車、医療機器の一部などに使われていますが、生産コストが高いため応用分野が限られ、汎用的な素材には育っていないのが現状です。
 そうしたなか、「ポスト炭素繊維」として注目を集めている新素材が、「セルロースナノファイバー(CNF)」という名の木材繊維です。
 CNFは、鉄鋼の5分の1の軽さで、その7~8倍の強度をもつ、幅4~20ナノメートル(ナノは10億分の1)のナノ繊維です。無数のナノ単位のファイバーを束にした木材繊維を特殊な触媒を通して化学・機械処理。髪の毛の2万分の1の太さにしたファイバーを集めたもので、見た目はどろどろした液体状。強度があるようには見えない形状ですが、1本1本のファイバーはとても丈夫で、集めることにより鋼鉄の5分の1の軽さで7~8倍の強度を発揮。しかも折り曲げも容易であるなど、夢のような新素材としてにわかに脚光を浴びています。
 このCNFは特殊な繊維というわけではなく、地球上に1兆8000億トンあるといわれる木質バイオマスの約半分を占める身近な素材。ナノテクノロジーが言われだした2000年代以降、木質バイオマスからCNFを抽出し、ナノ繊維として利用する研究が盛んになりました。軽量、高強度、低熱膨張性といった優れた特質をもつことから、幅広い分野への応用が可能です。
 たとえば自動車のバンパーや外板で主流のガラス繊維をCNFに置き換えた場合、自動車1台あたり25%の軽量化が可能との試算もあります。1キロあたり3000円程度とされる炭素繊維に比べ、常温で加工できるCNFの価格は約6分の1ともいわれ、量産化による大幅なコストダウンも見込まれます。また、航空機・自動車等の補強材のほか、スマホなどの有機ELディスプレイ、フィルター素材、包装資材、人工血管など、多くの用途へ向け開発研究がすすめられています。
 次世代の大型産業資材として注目され、製紙・樹脂・化学メーカーなどが高い関心を寄せるCNF。国土の7割が森林資源である日本にとっては、身近で有用な新素材であり、その実用化への期待がますます高まりそうです。

 
2014/11/28  

リサイクルトレンドウォッチ(25)

「もうひとつの二酸化炭素問題」
太平洋全域で酸性化が顕著に進行———気象庁が1990~2013年の観測データを解析

 CO2といえば、代表的な温室効果ガスとして「地球温暖化」とセットで語られることが多いのですが、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書や、世界気象機関(WMO)年報では、「もうひとつの二酸化炭素問題」として、「海洋酸性化」について言及が行われています。
 気象庁は11月26日、「太平洋全域で、海水に大気中のCO2が溶け込むことで生じる海洋の酸性化が顕著に進んでいる」と発表しました。発表内容は、同庁の観測船2隻が北西太平洋域で行ってきた観測データに他国の観測結果も取り入れ、1990~2013年までの太平洋全域の海面付近の酸性化について初めて解析したものです。
 観測結果によると、酸性度を示す水素イオン濃度指数(pH)は23年間の平均で約0.04低下し、酸性に近づいていたこと。通常弱アルカリ性(pH約8.1)とされる海の表面は、日本の南側の海域では、pH8.108から同8.068に変化していたことが判明しました。
 IPCCが2013年に公表した第5次評価報告書は、産業革命以降の約250年間で、地球全体の海洋のpHが平均で0.1低下したと指摘していますが、今回の観測結果から、太平洋ではIPCC報告書が示す平均の約4倍のペースで酸性化が進んでいることが明らかになりました。
 気象庁は、「海洋酸性化は海が大気中のCO2を吸収する能力を下げ、温暖化を加速させるほか、海洋生物が炭酸カルシウムから骨格や殻をつくりにくくし、貝類やサンゴなどの成長や繁殖を妨げる。プランクトンの小型化や減少にもつながり、大型魚の漁獲量が減る恐れがあると」としています。
 地球温暖化の加速や生態系への悪影響を引き起こす「海洋酸性化」という「もうひとつの二酸化炭素問題」。気象庁は今後も観測データの集積を続け、海洋環境の変化をもたらすメカニズムの解明を進めていく意向です。

◆気象庁ホームページ
 今回の観測結果はこちら☞    
  http://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/shindan/a_3/pHpac/pH-pac.html
「海洋の健康診断表」こちら☞
  http://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/shindan/index.html

 
2014/11/23  

リサイクルトレンドウォッチ(24)

車の骨組み15%軽く---JFE加工しやすい高張力鋼を開発
成形技術の進歩×新素材開発で自動車分野の温暖化対策に貢献

 JFEスチールは10月27日、複雑な形状をもつ自動車の骨格部品に使用可能な高張力鋼板(ハイテン)を開発したと発表しました。
 高張力鋼板(High Tensile Strength Steel Sheets)とは、引張り強さが高い鋼板のこと。普通鋼板が引張り強さ270MPa以上であるのに対して、一般的には340MPa~790MPaのものが高張力鋼板と定義され、980MPa以上のものは「超高張力鋼板」とも呼ばれます。
 高張力鋼板の主要用途は、自動車分野。地球温暖化問題への対策を求められる自動車業界では近年、特に燃費向上に伴うCO2排出量削減が急務となっています。その最有力手段となる車両の軽量化のために、薄くしても普通鋼板と同じ強度を得ることが可能な高張力鋼板を採用する機運が高まってきました。高張力鋼板の強度を上げると成形性が下がってしまうことが課題となっていますが、近年の成形技術の進歩により、外板パネルや、ピラー等の構造材等にはハイテンが採用され始めています。
 一方で、骨格部品の中には、複雑な形状を持ち、ハイテンを適用しにくい部品もありました。今回、JFEスチールが開発した新しいハイテンは、引張り強さが最大980Mpa級の亜鉛めっき鋼板。同じ強度の同社の既存鋼板より約2倍変形しやすく、複雑な形状に折り曲げた際にも割れなどの損傷が生じにくいというもの。薄くても強度が保てるため、骨組みなどを15%前後軽量化することが可能で、同社では車体のフレームなどで加工が複雑な部品用などとして自動車メーカーに採用を呼びかけていく予定です。
 JFEスチールは10月に西日本製鉄所福山地区(広島県福山市)にユーザーとの共同開発拠点を新設。今後はさらに自動車用鋼板などの潜在需要を掘り起こし、新しい素材や製造技術の開発スピードを高めたいとしています。

 
2014/10/09  

リサイクルトレンドウォッチ(23)
アルミ産業の行方――米で始まった「アルミの逆襲」

 米テネシー州アルコアは、世界のアルミメジャー「アルコア社」のお膝元。長らく活気を失っていたこの町が、最近明るさを取り戻しつつあるそうです。
 アルコア社はアルミナ・アルミ地金を持ち、鉱石から圧延事業までの垂直統合モデルで世界ビジネスを展開しています。米国内では1980年代から電力価格が次第に高騰、国際競争が激化した後も精錬事業を続けてきましたが、世界的なアルミニウム供給過剰が重しとなりアルミ材料の生産を年々縮小、2012年には年21.5万トンのアルミ製錬所を恒久的に閉鎖しました。1年前の2013年9月には、ダウ工業株30種の構成銘柄からアルコアが除外され、54年ぶりにアルコアの名が姿を消しました。アルミニウムは20世紀型の古い産業と見なされ、株式市場の表舞台からひっそりと退場したかに見えたのです。
 ところがその直後から、じわじわとウォール街でアルミの躍進が始まります。この1年のアルコア株の上昇率は約90%に達し、10月初め株価は3年半ぶりの高値を回復しました。
 「アルミニウムの逆襲」を支えるのは、2つの巨大な需要の存在。大きな需要源のひとつは航空機産業です。米ボーイングは先ごろ、格安航空会社(LCC)などからの受注増に対応するために主力の小型機「737」を緊急増産すると発表しました。航空機では新素材の炭素繊維への期待が大きいものの、単価が安い小型機向けではまだまだアルミの需要が旺盛。しかも今後は、「単一通路機」と呼ばれる737のような小型機が世界の空の主役になるとされています。ボーイングは今後20年で航空機需要が2倍になると予想。かつ20年後に世界を飛ぶ航空機の7割は小型機になるとにらみ、アルミ不足に備えて9月、アルコアと過去最大の調達契約を結びました。
 2つ目の需要源が自動車。オバマ政権が燃費の規制強化を決めたことで、ハイブリッド(HV)技術で日本車に水をあけられる米自動車3社は苦境に立たされています。特に国内販売の3割を大型ピックアップトラックが占め、HV技術の不足に困惑するフォード・モーターは鉄の3分の1の軽さのアルミ目を付け、稼ぎ頭のピックアップ「F―150」の骨格に燃費向上のためアルミ合金の採用を決定。GMもこれに追従する方針を示しました。
 「約半世紀前に、飲料缶が鉄からアルミに変わって以来の歴史的出来事」と、米メディアは「アルミ・カー革命」がアルミ業界に及ぼすインパクトの大きさを表現しました。
 川上の精錬事業から、はるかに利益率の高い川下の事業へ、川下では缶から車両や航空機の高力軽量アルミ事業へ、国内事業の軸足を移してきた米アルコア社の足跡。一方、日本でもこの3月末、国内で唯一アルミ精錬を続けてきた日本軽金属の静岡市蒲原事業所が電解事業の幕を閉じました。
 米国で、日本で、激しい構造変化にさらされるアルミ業界。その命運から目が離せません。

 
2014/09/18  

リサイクルトレンドウォッチ(22)
再生可能エネルギーでも独自の道をゆくスコットランド-—注目の住民投票の行方は?

 今日9月18日、独立の賛否を問う住民投票が行われ、世界中の注目を集めているスコットランド。実は、再生可能エネルギーや循環型経済の導入の面でも、独自の取り組みを進める環境先進地域です。
 スコッチウイスキーの製造過程から出た廃棄物をエネルギーに代えるエディンバラのベンチャー企業では、麦芽の搾りかすと廃液を発酵させ、バイオ燃料を作り出す事業に着手。2015年には商用プラントが稼働する予定です。
 1年を通じて強い風が吹く北東部オークニー諸島では、別のベンチャー企業が貝に似た小型の発電装置を浅瀬に設置。打ち寄せる波の力で装置内の水を循環させ、生じたエネルギーを陸上のタービンに伝えて発電するしくみで、800万kWの電力供給を実現。2万kW規模での実用化へ向けた取り組みを進めています。
 第2次世界大戦後に北海油田の開発が本格化し、北部を中心にエネルギーが身近な産業となったスコットランド。電力消費の4割以上を水力を含む再生可能エネルギーが占めており、スコットランド行政府がエネルギーの100%自給をめざして再生エネ投資に積極姿勢を示していることも、こうしたベンチャーの取り組みを後押ししているようです。
 一方では、イギリス、スコットランド両政府による再生エネ創出事業の構想も進んでいます。イギリスエネルギー・気候変動省は今年8月、スコットランド北部のぺントランド海峡に、世界最大の潮力発電装置を建設する計画を発表。この建設事業に対し、政府の低炭素技術への投資制度から1000万ポンドを助成するとしました。プロジェクトには総額5100万ポンドが投じられ、完成後には17万5000世帯の電力を賄い、最大100名の雇用を生むとして、両政府の緊密な協力による長期的な利益の創出に言及しています。イギリスは2020年までに老朽化する石炭・ガス火力発電所の5分の1を廃止する予定で、これを再生可能エネルギーで代替することへの期待が、こうしたプロジェクトの背景ともなっているようです。
 翻って独立機運の底流には、北海油田を巡る税収を英政府が独占することへの市民の根強い不満もあるとされるスコットランド。循環型社会の形成へ向け、独自路線をつき進むのか、イギリスとの協調を進めるのか・・日本時間の明日19日午後には大勢が判明する住民投票の行方が、注目されます。

 
2014/09/08  

リサイクルトレンドウォッチ(21)
使用済み情報機器からの資源再生量、対前年で11%減少---RITEA調査

 急速に普及が進むと同時に買い替え需要も増大しているパソコン・スマホ・携帯電話等の情報機器。これらの製品には、他の一般電気製品と比べてより多くの貴金属やレアメタルが含まれることから、極めて有望な「都市鉱山」としてリサイクルの強化が期待されています。
 9月2日、RITEA(一般社団法人情報機器リユース・リサイクル協会)は、平成25年度の使用済みパソコン等情報機器からの資源回収実績について公表しました。それによると回収された使用済み情報機器(パソコン・サーバー・ディスプレイ・プリンタ・コピー機・ルータ・携帯電話・スマートフォン・タブレット等14品目)の合計台数は、88万7000台、回収重量にして7953トン。回収台数・重量ともに前年度に比べ12%減少しましたが、これは従来型携帯電話の回収台数が減ったことや、情報機器が全般に軽量小型化していることが原因となっているようです。
 回収した機器からの再資源化処理量は7831トン。うち再び実際の資源に使われた資源再利用量は7010トンで、24年度に比べ11%の減少となりました。
 一方で、資源再利用率(再資源化処理量に対する資源再利用量の割合)は89.5%に達し、平成21年度にRITEAが集計を開始して以来、最も高い数値を記録しました。リサイクルされた資源には「金」250kg、「銀」1.1トン、「銅」251トン、各種「レアメタル」計6.2トンが含まれています。一般電気製品より多くの貴金属やレアメタルを含む廃棄情報機器の分野で、資源の濃縮リサイクルが徐々に進みつあることを示したともいえます。
 素材企業のなかには「国内の再生資源の発生量は今後も伸び悩む」との見方から、海外での再生資源回収に乗り出す動きも見られ始めています。しかし小型家電リサイクル法の施行から約1年半。回収・リサイクルの仕組みづくりは、まだ端緒についたばかりです。大きな鉱脈を秘めた小型家電・情報機器という都市鉱山を深く掘り起こすべく、試行錯誤を重ねつつ3Rをいっそう推進していくことがリサイクル業界全体の課題といえるでしょう。


平成25年度の使用済み情報機器からの資源回収結果の詳細はこちら☞http://www.ritea.or.jp/pdf/140902.pdf

 
2014/08/20  

リサイクルトレンドウォッチ(20)
古紙持ち去りにGPSで御用!

 自治体が回収する古新聞や古雑誌が住宅地の集積所などから持ち去られる被害が後を絶たないことから、全地球測位システム(GPS)を使ってこれを追跡する試みが、首都圏の自治体を中心に広がっています。
この古紙等の持ち去り追跡調査は、東京や神奈川・埼玉・千葉県下の自治体が、古紙買い取りの業界団体である「関東製紙原料直納商工組合」と連携して行っているもの。あらかじめGPS端末を忍ばせた古紙束を集積所に置き、持ち去られた場合はGPS発信機により移動経路や持ち込み先の古紙問屋などを特定して、商工組合が持ち去り古紙を買い取らないよう警告・要請することで、持ち去り行為を根本から解決しようとする取り組みです。
古紙持ち去り横行の背景には、経済発展が著しい中国やアジアで紙原料としての需要が高まり、5~6年前から国内で収集された古紙の買い取り価格が高止まりしていることがあります。持ち去られた古紙の被害金額は、東京都内だけで年間15億円にのぼる、との試算も出ています。
自治体にとって回収古紙の売却収入は貴重な財源であるため、持ち去り禁止の条例を制定する自治体も増えています。またパトロール等による監視も強められていますが、これらをすり抜けようとする業者とのいたちごっことなっているのが実態でした。そこへ新たに登場したGPS端末という秘密兵器。昨年来、首都圏の自治体に相次いで採用され、周辺市町村が足並みを揃えて導入するケースも増えていることから、不法な持ち去りへの抑止効果がじわじわと上がり始めているようです。

 
2014/08/01  

リサイクルトレンドウォッチ(19)
小型家電回収へ、企業の取組み続々と…

 佐川急便は、小型の廃家電製品を自宅で回収するサービスを7月から始めました。利用者からインターネットで申し込みを受け付け、最短翌日に集荷。段ボール1箱に収納できるだけの量を900円前後で回収するシステムです。事業は中古書籍買い取りのネットオフの関連会社と提携して行うもので、当面は愛知県からスタート、9月をメドに中部、関東地域に広げるといいます。回収の対象は、炊飯器、掃除機、デジタルカメラ、音響機器、電話機、パソコン、携帯電話など約400品目。地域ごとに専門の処理事業者に引き渡し再資源化。5年後に年間約600万点の回収をめざしています。
 一方、家電量販大手のビックカメラは、今秋にも小型の廃家電製品の回収サービスを始めるとしています。全国の店頭で回収ボックスなどを置いて引き受けるほか、顧客が購入した商品の配送時に回収する予定で、対象はデジタルカメラや携帯電話、オーディオ機器、電子レンジなど約90品目。具体的な開始時期や手数料などの詳細は、今後詰めるとしています。自治体をまたいで回収できるように調整中とのことですが、家電量販店では先進的な取り組みとなりそうです。
 パソコンや携帯電話、調理家電などに含まれる鉄や貴金属、レアメタルなどを金属資源としてリサイクルする目的で2013年4月に施行された小型家電リサイクル法。日本で1年間に使用済みとなる小型家電は約65万トンあり、そこに含まれる有用な金属は金額にして約840億円分になるとされています。
 すでに自治体などが回収や再資源化を始めていますが、今後、参入する企業が増えることで、再資源化の取組みに弾みがつくことが期待されます。

 
2014/07/23  

リサイクルトレンドウォッチ(18)
家電リサイクル料金、購入時の前払い方式導入は見送りに

 2001年4月に施行された家電リサイクル法では、テレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機の4品目を対象に小売店に収集・運搬の義務、メーカーにリサイクルの義務を課し、消費者は使用済み製品を手放す際に、リサイクル料と収集・運搬料を支払っています。このリサイクル料金について、「環境省・経産省が“前払い方式”への変更を検討している」と、7月4日、朝日新聞が報じました。
 「テレビや冷蔵庫などリサイクルが義務づけられている家電4品目について、環境省と経済産業省は、適正な処理を進めるため、回収率の目標を新たに設ける方針を固めた。リサイクル料金は家電を手放す際に払う仕組みだが、不法投棄などにつながっているとの指摘があるため、目標を大幅に下回るようなら『前払い方式』への変更を検討する」との報道。記事はさらに「4日、家電リサイクル制度の見直しを検討している中央環境審議会と産業構造審議会の合同会合で示す。当面は95%を目安として秋にも目標値を決め、不適正処理を取り締まったり、正規ルートでの廃棄を呼びかけたりする」と続きます。
 しかし翌7月5日、産経には“家電リサイクル料金前払い方式見送り”の見出しが。「家電リサイクル制度の見直しを検討している環境、経済産業両省は4日、リサイクル料金を消費者が購入時に前払いする方式の導入見送りを決めた。使用済み家電を小売店に引き渡す際に料金を徴収する現行方式を当面、継続する。両省の合同審議会で、前払い方式への移行に『結論が出なかった』とする取りまとめ素案がおおむね了承された。 自治体側は、前払い方式にすると消費者が廃棄する際にリサイクル料金の負担を求められないため、不法投棄の減少につながると期待していた。一方、メーカー側は『販売時に将来のリサイクル費用を予想するのは困難』などと反対していた。」(7月5日・SankeiBiz)
 環境省調査によれば、テレビなど家電4品目の不法投棄は2012年度に全国で11万6500台(推計値)におよびます。(不法投棄の内訳はブラウン管テレビ74%、冷蔵庫・冷凍庫15.9%、洗濯機・衣類乾燥機7.2%、液晶・プラズマ式テレビ1.9%、エアコン1.1%)
 法制化によりリサイクル率が向上したとはいえ、不法投棄や違法回収業者による不適正な処理が後を絶たない現状。新車購入時に消費者がリサイクル料金を前払いしている自動車リサイクル法と同様のしくみを、家電でもつくれないものか・・・電機業界をあげて前向きに取組んでいただくことを、切に願います。

 
2014/06/30  

リサイクルトレンドウォッチ(17)
CO2を吸い込むコンクリート――土木・建築分野で実用化され、低炭素化に一役
 
 温暖化防止のためのCO2回収やCO2固定化技術が、あらゆる産業分野で模索されています。そんななか、いま土木分野で注目されているのが、“CO2を吸い込むコンクリート”。大手ゼネコンの鹿島が中国電力、電気化学工業とともに開発した、『CO2-SUICOM(スイコム)』です。
 『CO2-SUICOM』は、セメントの半分以上を特殊な混和材や産業副産物などに置き換えることで、セメント製造時に排出されるCO2を大幅に削減します。キーとなっているのは、CO2と反応することでCO2を吸収し固まる性質を持った特殊な混和材。この混和材を用いたコンクリートを高濃度のCO2環境下で養生(炭酸化養生)することで、大量のCO2を吸収させることを可能にし、結果的にコンクリート製造時におけるCO2排出量を実質ゼロ以下にすることに世界で初めて成功したものです。
 製品第一号は、中国電力・三隅発電所(石炭火力)の排ガスを使用。副産物として出る石炭灰を、特殊混和材と一緒にセメントの代替材料とし、産業副産物の有効利用につなげました。製品は中国電力 福山太陽光発電所の舗装ブロックやフェンス基礎などに利用されています。
 1㎥のコンクリート(CO2-SUICOM)中には109kgのCO2が封じ込められており、閉じ込めたCO2量はコンクリート製造時の発生分を上回るため、全体としてCO2排出はマイナスに。つまり、“つくればつくるほどCO2削減が進むコンクリート”だというわけです。
 強度や磨耗性は普通のコンクリートと変わらず、価格は従来の1.5~2倍であるものの「気候変動対策として需要はある」とメーカーは期待。すでに国道9号線の縁石に使われているほか、建築分野ではプレキャストコンクリートの型枠にも使われるなど、土木・建築分野への適用例が広がりつつあります。

 
2014/06/13  

リサイクルトレンドウォッチ(16)
環境省、太陽光発電設備の再利用へ指針。今夏にもモデル事業開始へ。

 電力の固定買い取り制度(FIT)で、急速に設置数が増えている太陽光発電設備。将来は廃棄物として大量排出されることが予想されます。環境省が2012年度に実施した調査では、廃棄設備の排出量は2015年の年間約7~9万トン(住宅、非住宅、メガソーラー)から2030年には同約25~70万トンへ、急増すると推計しています。
 太陽光発電設備には、銀やアルミなど再利用できる資源が含まれる一方、埋め立てると溶け出す鉛やカドミウムなどの有害物質も含まれており、増加する排出量に対応できる適正な処理・リサイクルシステムの早急な構築は緊急の課題。
 環境省はこのほど、その廃棄指針づくりを行うことを決定しました。今夏にも使用済み太陽光発電設備のリサイクルに関するモデル事業を開始し、適正な処理方法やシステムの検討を開始するようです。モデル事業では、撤去や運搬、処理などを複数の方法で実施して費用対効果を分析。地域別の排出量や受け入れ可能な処理量の状況など地域による偏在性なども調査。その結果を踏まえて、適正処理の実現に向けたロードマップを作成する方針です。
 同省では、「FITの買い取り価格は、廃棄物の処理費用も含んでいる。太陽光発電設備の所有者は、きちんと処理費用を確保してほしい」と、呼びかけています。この分野で先行する欧州では、国やメーカーに回収・処理システムの構築を義務づけ、回収率やリサイクル率の目標設定も求めています。日本の太陽光発電リサイクルの道筋はどうなるのか…大いに注目されるところです。

関連資料 
「使用済再生可能エネルギー設備のリユース・リサイクル・適正処分に関する調査結果」
(平成26年3月 環境省・経済産業省まとめ) はこちら
http://www.env.go.jp/recycle/report/h26-02.pdf

 
2014/05/27  

リサイクルトレンドウォッチ(15)
急拡大するリユース市場。ネットとリアルの融合が後押し。

 古着や書籍、映像ソフト、家具などリユース品の販売が注目を集めています。環境省によると、2012年度の未使用品や新古品を含むリユース市場規模は推計1兆1887億円。2009年度に比べて19%の伸びとなっています。自動車やバイクを含めた市場規模は3兆1000億円を超えるとみられています。
 こうしたリユース市場を牽引しているのが、古着や書籍、映像ソフトなど。背景にはリユース品を扱うインターネット販売サイトの伸長と、消費者意識の変化があります。
 スマートフォンやタブレット端末の普及によりインターネット人口が急増する一方で、「ヤフオク!」に代表されるような中古品を扱うオークションサイトが急拡大。「要らなくなった人」と「必要な人」がネットでつながり、タイムリーな情報交換が活発に行われています。
 ネット社会のインフラがリユースの潜在的な需要を顕在化させると同時に、消費増税による消費者の意識変化も追い風に。これまでリアルの店舗でリユース品を販売してきた企業が、オークションサイトに出品したり、自社でリユースのためのサイトを立ち上げるなどの動きも加速。使い勝手が向上したネットとリアルの融合が、リデュース(削減)、リユース(再利用)、リサイクル(再生)の「3R」の強い推進力となっています。
 「買い手がキーマン」といわれるリユース市場をどこまで活性化できるか。消費者への発信力と需要喚起力が大きなポイントとなりそうです。

 
2014/04/21  

リサイクルトレンドウォッチ(14)
廃棄物処理分野から“防災・減災”を考える----
環境省が新たな「災害廃棄物対策指針」まとめる。

 3月31日、環境省は「東日本大震災で発生したがれきと、津波で運ばれた土砂の処理が福島を除く12道県で終了した」と発表しました。震災では全国で2千万トンのがれき(災害廃棄物)と約1千万トンの津波堆積物が発生しましたが、岩手、宮城、茨城の3県の処理が同日付けで終わり、年度内完了の政府目標を達成したかたちです。
 巨大災害時には膨大に発生する災害廃棄物が救援の妨げとなり、その処理の停滞が復旧・復興を大幅に遅らせることになりかねません。そうした事態を避けるために、環境省は同日、東日本大震災など過去の経験を踏まえた上で、都道府県市町村が災害廃棄物処理計画を作成する際の手引きとなる新たな「災害廃棄物対策指針」も発表しています。
 指針は、被災自治体と支援自治体、建設・廃棄物関連等民間事業者との連携や、広域的な相互協力体制の整備などに力点を置き、時系列の行動課題を整理するとともに分別・再資源化の推進についても記載。「災害に強い廃棄物処理システムの確保と資源循環への貢献」「大規模広域災害を念頭に置いたバックアップ機能の確保」などにも触れ、いわば「廃棄物処理の視点からの防災・減災」を具体的・総合的に俯瞰した内容となっています。
 災害発生時には、廃棄物の仮置き場の確保が復興の進行に影響を与えますが、同省が全国自治体に行ったアンケートでは災害時のがれき置き場を備える自治体はわずか3割にとどまっており、事前対策を早急に進めることが課題となりそうです。
 一方で巨大災害時に不可欠な広域処理を進めるためには、情報共有が重要なポイントとなりますが、東日本大震災後につくられた環境省のポータルサイトでは災害廃棄物の 「発生側」と「受け入れ側」の状況がリアルタイムで把握できるようになっています。
 いつ起こるかわからない不測の事態に備え、廃棄物の視点からの「防災・減災」を考えていくことは、われわれ関連事業者にも必須の課題といえそうです。

詳しくはこちら☞
災害廃棄物対策指針
http://www.env.go.jp/recycle/waste/disaster/guideline/attach/gl_h25-main.pdf
巨大災害発生時における災害廃棄物対策のグランドデザインについて 中間とりまとめ(案)
http://www.env.go.jp/recycle/waste/disaster/earthquake/conf/conf01-06/mat02_1.pdf
広域処理情報サイト
http://kouikishori.env.go.jp/index.html
災害廃棄物処理情報サイト
http://kouikishori.env.go.jp/saigaihaikibutsu/

 
2014/03/30  

リサイクルトレンドウォッチ(13)
南海トラフ地震の廃棄物は東日本大震災の最大11倍---環境省が試算

 「南海トラフ巨大地震で発生するがれきやごみ、津波による土砂などの災害廃棄物は、最大で東日本大震災の11倍」---環境省による試算が波紋を呼んでいます。
 試算は東日本大震災の経験をもとに行われたもので、津波による浸水被害や火災による消失などを加味したがれき・土砂の発生量を試算し、現在のごみ焼却施設と埋め立て処分場の処理能力を前提に計算されています。 南海トラフ地震では駿河湾—紀伊半島が震源となるケースで発生量が最も多く、3億2200万トンのがれき・ごみに加え、2700万トンの津波土砂の処理が必要となり、全国で広域処理しても処理には最長19年4カ月を要すると試算されています。しかし、リサイクルを進めたり、仮設焼却炉を設置した場合は、処理期間を短縮することが可能になります。
  東日本大震災では、廃棄物の85%を再利用し、年間150万トンを処理できる仮設焼却炉を設置するなどにより、静岡県から北海道の太平洋沿岸部までを中心とした13道県・239市町村で発生した災害廃棄物約2000万トン、津波堆積物約1000万トンの処理を、3年でほぼ完了。環境省は、「再利用率を増やして埋め立て処分を抑えることが不可欠」としています。
 災害がれきは一般ごみと同様、市区町村に処理責任がありますが、同省が昨年度全市町村を対象に行った調査では、処理計画を作成している自治体は約17%。54%は市町村の防災計画でふれているものの、全く作成されていない所も29%にのぼり、市町村レベルでの災害廃棄物対策の指針づくりが急がれています。

☞ 詳しくはこちら 
  「災害廃棄物等の要処理量の試算と処理施設における処理可能量との比較検討」(環境省)
http://www.env.go.jp/recycle/waste/disaster/earthquake/conf/conf01-05/mat03.pdf

 
2014/02/28  

リサイクルトレンドウォッチ(12)
銅市場にねじれ---原料過剰でも地金は不足の状況がつづく

 電線やリードフレームなどの原料となる銅。2014年の夏場までは原料である鉱石は余剰になるが、鉱石を製錬してできる地金は不足する…そんな予測が業界では出ています。しわ寄せは電線メーカーや「伸銅品」と呼ぶ銅加工品のメーカーに及びそうな気配です。
  国際銅研究会(ICSG)がまとめた13年1~10月の世界の銅鉱石の産出量は1482万トン。一方、鉱石を製錬して作られた地金は1429万8千トンにとどまり、鉱石は約52万トンの供給余剰となっています。前年同期の余剰約5万トンと比較すると、過剰に供給された量は約10倍に膨らんだ計算。モンゴルの鉱山が13年から操業を始めるなどにより供給が増えた反面、フィリピンの製錬所が台風の影響で操業を停止し、鉱石を計画通りに消費できなかったことなどが原料余剰の一因とみられます。
 一方で地金は当面は不足する見通し。銅地金の最大の消費国である中国でインフラ関連の銅需要が増加したことなどから、13年1~10月の銅地金の需給バランスは23万トンの供給不足となり、ロンドン金属取引所(LME)指定倉庫の足元の在庫も13年のピークから半減しています。「地金の需給がタイトな状態は続き、LME相場は夏場まで徐々に上昇する」と観測されています。
 原料の銅鉱石は余っているが、製錬の処理能力が足りず、地金の供給は需要の伸びに追いつかない――そんな銅市場のねじれは、川下の業界を直撃。地金の価格に割増金(プレミアム)を上乗せする銅市場の取引慣習は需給を敏感に反映し、割増金の上昇が電線や伸銅品メーカーにとってコスト増を招くことが懸念されます。公共事業の増加や消費増税前の駆け込み需要などで、電線や伸銅品の消費は堅調ですが、コスト上昇分の転嫁は容易ではありません。
 年の後半には中国で新たに銅の製錬所が稼働するなど、地金の供給も上向くと予測されますが、銅市場の「ねじれ」の解消にはまだ時間がかかりそうで、電線メーカーなどにとっては頭の痛い状況が当面つづくもようです。

 
2014/01/22  

リサイクルトレンドウォッチ(11)
「再生」というデザイン---“リクレイム”が、いまアメリカでブーム

大量消費の国、アメリカで、いま“リクレイム”が静かなブームとなっています。
 使われなくなったモノを他の形にして利用するのが“リサイクル”だとするなら、“リクレイム”は、廃材をできるだけ本来の状態に戻して、再利用することを指します。
 ブームを牽引するのが、リクレイム・ウッドや古い石材を使った建築やインテリア。古い木造の工場や倉庫などに使われていた廃材を、レストラン、ショップ、オフィス、住宅の内装や外壁に効果的に使うものです。数十年から百年以上も前の時代の無垢の木材には、独特の質感・手触り・温もりがあり、経過した時間と使用感が、素材にふたつとないヴィンテージ感を与えています。それらをデザインとして取り入れることで、空間には多彩で新鮮な表情が生まれます。また、古材を使用し現存の木を切らないことは、二酸化炭素の排出削減に参加するグリーン行動の表明にもつながります。
 ここ数年、人々のサスティナブル(持続可能)な暮らしや温もりのある田舎風デザインへの関心が高まり、古材を使ったリクレイム・デザイン&リノベーションが、時代の脚光を浴びているわけです。
 古材とはいえ、リクレイム・ウッドは決して安価なものではありません。再生を前提に解体するので、重機でやみくもに壊すような事は厳禁。木材だけでなく、再生できそうな窓やドア、石材、鉄等の部材も集めて再利用されます。丁寧に解体され、サイズや種類に分類された後、切断・害虫駆除・釘抜き・ヤスリがけ・機械での削りなど、気の遠くなるような手間をかけ、数ヶ月を費やして元の状態に復元。そうして再利用できる形になったリクレイム・ウッドは、味わいのあるヴィンテージ品として高い価値をもつものに生まれ変わっています。
 カエデ、オーク、杉、松、ポプラなどさまざまな色や材質のリクレイム・ウッドを大量にストックし、施主の好みにあわせたデザインで建物のリノベーションや建築を手がける専門家集団、デザインプロジェクトが注目を集め、全米から注文が殺到しているといいます。
 リクレイムとは、単なる再利用ではなく、「再生」というデザインであり、いわばひとつのカルチャー。日本でもその魅力に気づいた若く先鋭的なデザイナーたちが、アパレルやインテリア、設計の分野でリクレイムによる創造的な仕事を始めています。

 
2013/11/26  

リサイクルトレンドウォッチ(10)
自動車・建設向け需要の堅調で鉄鋼の回復、鮮明に

日本鉄鋼連盟が19日発表した10月の粗鋼生産量は、前年同月比7.7%増の951万8400トン。円安で輸出が好調だったことや、国内では建築・土木向けが堅調だったことが背景となり、2カ月連続で前年実績を上回りました。
 高炉メーカーが手がける転炉鋼が7.7%増の731万7400トンとなり、2カ月連続でプラス。円高の影響や国内の消費増税を前にした駆け込み需要などで自動車生産が好調に推移しています。電炉鋼は7.7%増の220万1000トンで、3カ月連続でプラス。建築向けに加え、自動車の生産が増加したことに伴って自動車部品向けも伸びているようです。
 海外勢と比較し、夏頃からいち早く回復基調を見せてきた国内鉄鋼大手。内需に加え、コスト削減や円安が業績回復の追い風になったもようです。円高修正が進むなか、海外からの安価鋼材の輸入は減る傾向にあり、国内鋼材価格の引き下げ圧力を緩和する方向に働いています。JFEスチールはこのほど、建材や自動車などに幅広く使われる薄鋼板の一般流通(店売り)市場向け価格を1トンあたり3000~5000円、5%前後引き上げ。需要の増加を受けて、同社の工場はほぼフル稼働が続いており、2013年度下期(13年10~14年3月)の粗鋼生産量を前年同期比8%増の約1500万トンに引き上げる方針といいます。
 一方、世界鉄鋼協会(ワールドスチール)が20日まとめた10月の粗鋼生産量(65カ国・地域)は前年同月比6.6%増の1億3426万トンとなり、14カ月連続で増加。10月としては過去最高となっています。中国が9.2%増の6508万トンと、10カ月連続で6千万トン超の高水準の生産が続いていることが全体を押し上げる格好に。中国のほか、韓国も現代自動車グループの現代製鉄の新高炉建設などを受けて5.2%増の592万トンと9カ月ぶりにプラスに転じました。
 低迷が続いたEUも4%増の1470万トンと3カ月連続で増加。米国は好調な自動車販売や住宅着工により8.7%増の739万トンと2カ月連続増となるなど、世界の鉄鋼業界に明るい兆しが見え始めています。

 
2013/10/31  

リサイクルトレンドウォッチ(9)
海外マネーも流入、日本の太陽光バブルが本格化?
割高な太陽光買い取り価格がもたらすひずみがブームの不安材料に…

国内の太陽光発電市場に海外勢が相次いで参入することが、先ごろ大きく新聞報道されました。
豪・米・中などの素材・エネルギー企業や銀行が各地にメガソーラー発電所を建設して電力を供給するもので、総投資額は今後5年で7千億円規模となり、国内の太陽光発電向けの1割弱を占める見通しだそうです。
 海外マネーの流入加速の背景には、2012年から始まった再生エネルギー電力の買い取り制度があります。ドイツをお手本に電力会社に太陽光電力(産業用)を全量買い取ることを義務付けたもので、12年度の買い取り価格(20年間固定)は42円/kw。業界が高値と評価する好条件で、異業種の参入が相次ぎました。13年度はパネルの値下がりなどを受け、37.8円/kwに引き下げられましたが、12年度中に駆け込み申請した業者も多く、問題になっています。
 2012年度の再生エネルギー全体の新設計画は2109万kw、うち太陽光は2002万kwと9割超を占めています。仮にすべて稼働すれば、11年度までに国内にあった太陽光発電設備(約530万キロワット)が一気に5倍近くに増え、原子力発電所20基分に匹敵する数字ですが、実際12年度内に運転開始したのは計画の1割に満たない197.5万kw。所有権のない土地で認定を取得し売電の権利を転売しようとした事例もあるようで、経産省が実態調査を始めています。
 米調査会社によると、日本の太陽光発電市場は投資額ベースで12年比8割増の200億ドル(約1兆9700億円)。世界シェアは24%で再生エネルギー大国のドイツを抜いて首位に立ち、海外勢の投資がさらに市場を約1割押し上げる、との見通し。明らかに“太陽光バブル”といえる状況が
日本で起きているのはまちがいなさそうです。
  再生エネルギーのなかでも設置コストが高い太陽光発電に、国が補助制度を設けて普及を加速させ、コスト低減を図ることが買い取り制度の趣旨。その買い取り価格は、最も高い家庭用電気料金をも上回るため、差額は広く一般家庭などが負担しています。
 再生可能エネルギーの普及促進と、買い取り制度による投資の集中、混乱、という状況は、スペインやドイツ、イギリスなどでも起きています。果たして日本の“太陽光バブル”の行方はどうなるのか…当面、目が離せない問題となりそうです。

 
2013/10/11  

リサイクルトレンドウォッチ(8)
パナソニックが自社の使用済み家電からの鉄スクラップ再利用を開始
東京製鐵と提携し、資源循環のしくみを構築

パナソニックは東京製鐵と組み、自社の使用済み家電から生じる鉄スクラップを電炉鋼板に加工した上で再調達し、他の製品の材料とする「資源循環取引スキーム」を共同で開始しました。
 スキームの流れは、①同社グループのパナソニックエコテクノロジーセンター(兵庫県)が使用済み家電製品を回収・処理して鉄スクラップを収集 ②東京製鐵が引き渡された鉄スクラップを電炉鋼板に加工 ③パナソニックグループが加工後の電炉鋼板を調達・使用、というもの。
 すでにこの仕組みを利用して、パナホームが2013年7月から電炉鋼板を建築用天井材などに使用し始めているそうです。リサイクルはまず、月50トン規模から開始し、2013年度内を目処に月100トン(年間1200トン)に増量。今後は住宅用建材から洗濯機や照明器具、産業機械用などに使用製品が順次拡大される予定です。
 パナソニックのリサイクル材の使用率はこれまで鉄で2%程度で、市場に出回る鉄スクラップを使用していました。一方、同社が日本全国で回収する廃家電からの鉄は、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の4品目で年間約5万トンと、大きな潜在的ポテンシャルをもっています。
 同社では従来から東京製鐵の鋼材を使ってきましたが、素材となる鉄スクラップは市場調達によるもので市況変動の影響を受けていました。新スキームでは、従来と比較して原料調達費を最大で3割削減でき、資源の有効活用と同時に価格競争の激しい家電業界で生産コスト低減につなげるねらい。
 この新たな協業のしくみは、伝統的に高炉の粗鋼生産量が多く、海外に比べて鉄スクラップからの電炉鋼材の割合が少なかった日本の鉄関連業界に、大きな一石を投じるものとして注目されています。

 
2013/09/24  

リサイクルトレンドウォッチ(7)
鉄スクラップによる“Car to Car”実現に大きな第一歩?
環境省、電炉で高炉品質の自動車用鋼板試作に成功

環境省は、平成24年度から実施している「鉄スクラップの高度利用化実証事業」において、鉄スクラップを原料に電炉で高炉並みの品質をもつ自動車用高張力鋼板を試作することに、国内で初めて成功したと発表しました。
 鉄においては、鉄鋼生産時に発生する加工スクラップや、自動車などの使用済み製品から回収される老廃スクラップが再び鉄鋼生産へとリサイクルする循環システムが構築されており、現在、国内で年間に製造される鉄鋼製品の原料約1億3千万トンのうち、約5千万トンが鉄スクラップ由来の原料となっています。しかし、鉄スクラップ原料による鉄鋼製品は、主に種々の合金元素を添加した特殊鋼や、建設用建材に用いられ、自動車や家電製品用の鋼板は天然資源の鉄鉱石を主原料に生産されています。
 環境省の同事業は、自動車の構造用鋼板などに鉄スクラップを用いることができれば、貴重な国内資源である鉄スクラップの利用用途拡大につながるほか、鉄スクラップに含まれるレアメタル等の有効活用、CO2排出削減、使用済み自動車から回収した鉄スクラップで再び自動車を製造する(Car to Car)水平リサイクルの実現、高張力鋼板の低コスト化等につながることなどを視野に入れ、実施されているものです。
 今回の実証は、委託実施事業者である東京製鐵の電炉に鉄スクラップ150トンを投入して鋼板を試作。溶接性評価した試作鋼板を試験片として引張試験等を行った結果、高炉で製造した場合と同等の強度―伸びのバランスを持った鋼板であることがわかりました。原料の50%を、市中スクラップより成分の安定した自動車工場からの鉄スクラップ(新断)としたことも試作成功の要因になったとされます。
 軽薄性、成形性、車体衝突時の耐久性など高い性能を求められる自動車の構造用高張力鋼板を、100%鉄スクラップ原料から試作することに成功した今回の快挙。使用済み自動車の鉄スクラップから、自動車ボディーをつくるのが当たり前になる日も、遠からず訪れることになるのかもしれません。

☞ 詳しい情報はこちら
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16583
http://www.env.go.jp/recycle/car/pdfs/h24_report03_mat01.pdf

 
2013/09/10  

リサイクルトレンドウォッチ(6)
世界最大手の繊維リサイクル会社(スイス)が日本に進出

世界最大級の繊維リサイクル企業「ソエックスグループ」(スイス)傘下の「アイコレクト」社(スイス)が、日本市場に進出しました。
 アイコレクトは、欧州や北米を中心に古着リサイクルを展開。スウェーデンのH&Mなどの小売業と組み、世界56ヵ国で6800店に回収ボックスを設置しています。回収した古着や靴は、世界にあるソエックスグループの工場で分類され、再商品化したり、“コットンtoコットン”のように繊維原料としてきめ細かくリサイクルするなど、循環体制が構築されています。リサイクル製品は自動車の断熱材やフロアマットなどにも利用され、メルセデスベンツやBMWにも採用されているそうです。
 店頭に古着を持ち込んだ利用客には、小売店から割引券を発行。回収率を高めると同時に、リピート購入を促す、WIN-WINのしくみです。
 先ごろ設立された日本法人の「アイコジャパン」では、全国3万店舗への回収ボックス設置を目標に、百貨店やスーパーなどと提携交渉を進めています。すでにボックスを設置した「H&M」29店舗では、3ヵ月で40トン以上の回収があったとか。1日250トン以上の回収量が確保できれば、岩手県にリサイクル工場を建設する予定で、「ドイツで70%以上、アメリカで25%以上と比較して10%未満の低いリサイクル率にとどまる“衣類リサイクル後進国”日本で、今後は回収ボックスを常識にしていきたい」と、同社トップは語っています。

 
2013/08/23  

リサイクルトレンドウォッチ(5)
高炉のCO2を水にする…鉄鋼業界のグリーンイノベーション

深刻化する地球温暖化。国内で業種別のCO2排出量が最も多いのは鉄鋼業界で、全製造業の約40%、日本全体を見ても約15%を占めます。その排出量を2050年までに30%削減することをめざして、鉄鋼大手と日本鉄鋼連盟が取り組んでいる「革新的製鉄プロセス技術開発(COURSE50)」(NEDO委託事業)のプロジェクトが、着々と進行。新たな実証研究のステージに入っています。
 鉄は酸化鉄として存在する鉄鉱石から酸素を除去(還元)することによりつくられます。通常の高炉製鉄法では鉄の還元に、石炭を蒸し焼きにしたコークスを利用。その過程で鉄の生産量に比例して必然的にCO2ガスが発生するため、CO2排出は“近代製鉄の宿命”とされてきました。
 このコークスに代えて、一部水素を用いて鉄鉱石の還元を行うのが「COURSE50」プロジェクトの研究の目玉。「水素還元」では酸素が炭素ではなく水素と結びつくため、H2Oが発生するだけでCO2は発生しません。製鉄プロセスでのCO2排出量を削減する“夢の還元法”ともいえます。
 すでに2008年度から5年をかけて進めてきた要素技術開発(第1ステップ)で、一定の成果を確認。日本鉄鋼連盟などは去る8月6日、2015年度までに新日鉄住金の君津製鉄所(千葉県君津市)に10立方メートル規模の試験高炉を建設し、第1ステップの要素技術の総合的な実証実験を行うと発表しました。プロジェクトは、2050年までに現在28ヵ所ある国内の高炉すべてに水素還元を普及させることをめざしています。
 かつて1960~70年代に生産性の高い連続鋳造技術を一気に普及させることで、欧米勢を凌駕した日本の鉄鋼業界。官民をあげて進める新たなグリーンイノベーションが、鉄の国際的な競争環境を再び一変させることになるかもしれません。

日本鉄鋼連盟 「COURSE50プロジェクト」の概要はこちら ☞
http://www.jisf.or.jp/course50/

 
2013/08/01  

リサイクルトレンドウォッチ(4)
20年周期の偉大なるリサイクル…伊勢神宮式年遷宮のしくみとは?

古より「お伊勢さん」の名で親しまれる伊勢神宮で、今年62回目となる「式年遷宮」が行われます。「式年遷宮」とは、20年毎に社殿はもとより1000点を超える装束や、500点近い神宝のすべてを新しく造り替え、御神体を新宮へお移しするもので、約1300年前から連綿と繰り返されてきた伝統行事です。
 膨大な時間と労力をかけて行われるこの祭事は、同時に、世界にも類のない“20年周期の偉大なるリサイクルシステム”ともいわれます。遷宮のために伐り出される木は樹齢数百年以上の檜など一万本超。これらの用材は計画的に植林・伐採され、約10年の歳月をかけて造営されることで、建築技術の伝承と世代交代が行われます。旧社殿で使われていた大柱は鳥居としてさらに20年使われ、その他の古材も全国の社の改修や、震災で倒壊した神社の再建に使われるなど、伐採後100年・200年単位で再利用されています。
 およそ1500点の装束・神宝類も日本の伝統技術により調整されますが、設計図のようなものはなく、職人の口伝によるとか。これらすべての技を確実に伝え育てられるのが20年という周期である、ともいわれています。
 20代の見習いで初めて遷宮を経験した大工さんが、2度目は40代で作業の中心を担い、3度目は60代の棟梁として後継者づくりに携わる…。数々の調度類の製作、造営、祭事のための人的ネットワークを含め、いずれもソフト中心の技術的伝承です。
 「リサイクル」という言葉などない時代から、営々と受け継がれてきた伊勢神宮の「再生」と「循環」のシステム。現代に生きる私たちにも、多くのことを教えてくれる気がします。

 
2013/07/13  

リサイクルトレンドウォッチ(3) 
金属分含有の古紙からトイレットペーパー…進む古紙再生利用技術

国内紙商社最大手の日本紙パルプ商事は、製紙原料として再生が難しいとされてきた「難リサイクル古紙」を使う家庭紙の大型工場を、2015年3月、静岡県に新設すると発表しました。新工場では、磁気シートが貼られた切符や樹脂フィルムが付けられた紙パックなどを主原料にトイレットペーパーなどを生産するといいます。
 古紙業界では、粘着物のついた封筒、防水加工された紙、カーボン紙、圧着はがき、感熱紙、写真用印画紙、プラスチックフィルムやアルミ箔などを含む複合素材紙、金銀等の金属が箔押しされた紙などは、「禁忌品」と呼ばれ、再生の妨げになる異物としてあらかじめ回収古紙から取り除くことが求められていました。
 国内製紙業界ではコスト削減のためにも大手各社がさまざまな古紙リサイクル技術の開発に注力していますが、消費者が手に触れる家庭紙の主原料として金属分の含まれた古紙を使うケースはほとんどなく、日本紙パルプ商事の取組みは、国内の製紙業界でも先駆的な取り組みとして注目されます。
 紙・パルプ統計(日本貿易月表)によれば、日本の古紙回収率は2000年の57.0%から12年の79.9%へ、古紙利用率は同57.7%から63.7%へと、右肩上がりで推移。また古紙輸入量は2000年の278千トンから12年の28千トンへ減少する一方で、輸出量は同372千トンから4929千トンへ大幅に伸張。貴重なリサイクル資源の一角を占めており、古紙再生利用技術の開発は、今後も加速されるものと思われます。

 
2013/06/15  

リサイクルトレンドウォッチ(2)
中国発「鉄冷え」が世界へ波及?----鋼材・鉄スクラップの市況が下落。

電炉の製鋼原料となる鉄スクラップが内外で下落しています。関東地区の電炉買値は1トン3万1千~3万2千円と4ヵ月ぶり安値をつけ、直近の高値だった3月から9%下落。輸出向け入札価格(6月契約分)も前月比1736円安に。アジア市場でも指標となる米国品の韓国電炉の買値が1トン365~370ドル(運賃込み)と2年10ヵ月ぶりの安値をつけています。
 いまや“国際商品”と化したスクラップ。その価格形成は、市場の需給関係のみならず、海外メーカーの購入量や生産動向にも強く影響されるなど、複雑化しています。
 いま、鉄の市況を大きく揺さぶっているのが、世界の粗鋼生産量の半分近くを生み出す中国製鋼業の膨張です。2012年末時点で中国の粗鋼生産能力は9億トン超。うち2億トンが余剰とされ、その規模は世界鉄鋼需要の1割に相当します。中国国内で消費しきれない鋼材は世界へあふれ出し、価格下落の波を生み出します。
 前述のアジアの鉄スクラップ安値も、中国の電炉等の増産によりアジアの鋼材価格が一段と下落した影響で、業績が落ち込んだ韓国の製鉄会社が買い付け意欲を後退させたことによるもの。
 2000年代に中国各地で増設された製鉄所は現在800社。約350万人の雇用を支え、赤字でもおいそれと減産はできない状況。景気減速により国内で消費しきれない低価格の中国製鋼材が東南アジアや欧州へ向かい、世界にインパクトを与えています。日本では新日鉄住金、JFEスチール、神戸製鋼所が軒並み高炉の休止を決定。アルセロール・ミタル、タタ、ボスコなど世界大手も収益悪化に苦しんでおり、中国発「鉄冷え」が世界市場を覆う暗雲となることが懸念されます。

 
2013/05/31  

リサイクルトレンドウォッチ(1)
その場でお買い物ポイントを発行する資源自動回収装置が、消費者に人気!

スーパーやホームセンターの店頭で資源回収に協力するとお買い物ポイントを発行する自動回収装置が各地に導入され始め、話題を呼んでいます。
 先鞭をつけたセブン&アイホールディングスでは、大手小売業として初の“ペットボトルtoペットボトル”の循環型リサイクルシステムを昨年から導入。2012年3月末から2013年2月までの1年間で関東エリアのイトーヨーカドー、ヨークマート、ヨークベニマル200店舗余りに自動回収機を設置し、順次全国に導入を広げています。
 店頭の自動回収装置にペットボトルを投入すると発行されるリサイクルポイントは、電子マネー「nanaco」のポイントに交換が可能。消費者はリサイクルに協力しながら、お買い物ポイントをGETできます。回収された容器はその場で選別・減容され、飲料メーカーと連動して国内でペットボトルに再生されます。
 消費者—小売店—リサイクル事業者—飲料メーカーそれぞれにメリットをもたらす好循環のリサイクルシステム。こうした動きは、他の流通チェーンにも広がり始め、ペットボトルに加え古紙リサイクルの自動回収装置も登場しています。流通小売店が核となった地域のリサイクル推進、今後、大きな潮流となりそうです。

 
2013/04/13  

小型家電リサイクル法が、4月1日より施行されました

使用済みの小型家電の回収・リサイクルを促進するための新たな法律、「小型家電リサイクル法」が、4月1日より施行されました。
 携帯電話、デジタルカメラ、ゲーム機などの小型家電には、金や銅などの有用金属や、レアメタル(希少金属)が含まれています。現在、日本全体で年間に廃棄される小型家電は推定約65.1万トン。その中に含まれている有用な金属などの量は約27.9万トン、金額にして約844億円分にも上るといわれます。
 「都市鉱山」とも称される、こうした埋もれた資源を有効に活用するための法律が「小型家電リサイクル法」。対象品目は、携帯電話、パソコン、電子レンジなど28分類、200品目以上にのぼります。自治体が窓口となってこれらの回収・再資源化を推進。回収の方法や体制は市町村ごとに定められます。政府は2015年までに回収率20%を目標として掲げています。
 詳しい情報はこちら ☞
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201303/2.html

 
2013/03/28  

2013年3月28日 弊社ウェブサイトを設立しました。

よくあるご質問(FAQ)
外部リンク
リサイクル豆知識
 このページのトップへ
環境マネジメント国際規格
ISO14001取得
  
プライバシーポリシー | サイトマップ
Copyright © 2012 MARUMOTO Steel Materials Co.,ltd. All rights reserved.